「プロレス・新日本」(5日、東京ドーム) 米AEW、米ROH、メキシコのCMLL、日本のスターダムとの合同興行「レッスル・ダイナスティ」が開催され、2010年代にトップ外国人として活躍したケニー・オメガ(AEW)が、復帰戦でゲイブ・キッド…

 「プロレス・新日本」(5日、東京ドーム)

 米AEW、米ROH、メキシコのCMLL、日本のスターダムとの合同興行「レッスル・ダイナスティ」が開催され、2010年代にトップ外国人として活躍したケニー・オメガ(AEW)が、復帰戦でゲイブ・キッドと一騎打ちを行った。

 両雄は昨年11・4大阪大会のバックステージでゲイブがケニーを襲撃し、遺恨が勃発。ゲイブはライオンマークをタイツに縫い付け、新日本を背負う覚悟を見せた。

 試合ではケニーにブーイング、ゲイブに声援が飛ぶ中、10分経過を挟んでケニーが場外でドラゴンスープレックス、机の上にパワーボムを放ち、ゲイブが大流血。続けてスワンダイブでプランチャを放ったケニーだが、右脚の付け根を痛めてしまう。ゲイブもやられっぱなしにはならず、ケニーを机にブレーンバスターでたたきつけ、真っ二つの机の板でケニーをぶん殴って大流血に追い込む。

 双方血だるまの死闘は25分過ぎ、ケニーがドラゴンスープレックス、ダブルアームのパイルドライバーとたたみ込むが、片翼の天使をこらえたゲイブもアントニオ猪木ばりの鬼気迫る表情でコブラツイストに捕獲。パイルドライバー、パワーボム、パイルドライバー、延髄斬りと反転攻勢に出たが、ケニーは膝蹴りで止めるとパワーボム。中指を立てるゲイブにカミゴェ、片翼の天使とたたみ込んで31分55秒、片エビ固めで3カウントを奪った。

 精根尽き果てた姿で記者会見場に現れたケニーは、「試合前、俺はみんなから温かい声援を受ける、その中で闘うと思っていた。試合中、ゲイブへの声援を聞き、ブーイングも聞こえた。裏切られた気分だった。俺はおまえたちのために試合をするために、今契約しているAEWでなく新日本のリングを選んで来たのに…」と涙。ブーイングで「これで決断自分自身の試合をする、俺がやるべきこと、やるべき仕事をする、自分自身を証明すると決断できた」と腹をくくったという。

 ゲイブに対しては「どんなガッツを持って自分自身を証明するためにここに上がってきてるのか、見せてほしかった。アイツは特別だ。とてもいいスピリットと闘う情熱を持っている。

 ゲイブ、おまえは正しかったよ。おまえにはガッツがあるし、おまえと闘おうと思った俺の決断も正しかった。今日おまえはそれを見せてくれた。

 新しいヒーローがここに誕生したな。日本にはゲイブというスターがいる。若くてハングリーで情熱があり、熱心で全てをささげることができるヤツだ。たぶんああいう男を今の新日本は必要としてるんだろう。まあ楽しむがいい」と大絶賛。

 ゲイブとの死闘で「俺がまだできるということも今日の試合で分かった。感謝してるよ」と、復活の手応えを得たことも明かしたが、その他は心配になるようなコメントを連発。

 「俺はここ何年か心を痛めてやっていた。ここで復帰し、闘っている姿をみんなに見せたにもかかわらず、おまえたちは俺から奪っていくばかり。友人だと思っていたヤツらにも裏切られた。だいたい自分に近づいてくるヤツなんか詐欺師ばっかりなんだよ、この業界では。1人だけ裏切らなかったヤツは今ここにいない。ここに来たくないと言ってたので、もうここにも来ないだろう。

 しかし、自分のキャリアで決断してきたことに何一つ後悔はない。自分はプロレスのために全てをささげる、そう誓ってここまでやって来た。この試合を見たおまえたち、良かったな。明日はもっとすごいものを見せてやる。俺は自分自身がケガをし、足をもがれ、全てが消えるまでやってやる。もう振り返ることはできないし後戻りする理には遅すぎる。俺は全てのエネルギーを使い再構築する。おまえたちが奪ったものを取り返しにいく。とはいえ本当に俺にエネルギーをくれた人たちには感謝している。

 いろんなことを思った。だいぶ昔にここ(新日本)からは去ったけど、2012年に日本武道館のメインを飾った時にここがピークかと思ったが違った。自分のピークがいつか、常に考えてきた。試合を見た人の人生を良い方向に変えられただろう。それがピークかと思ったが、それもまた違った。

 試合前にホテルで弱い内面が声をかけてくれた。手を差し伸べてくれる人は誰もいなかった。1人来てくれたけど、そんな人がそばにいてくれたら良かったと思う。俺は一人で試合に臨んだ」と、ナーバスな内面を吐露し続けた。

 敗れたゲイブは「完全にやられた。ケニーこそがベストバウトマシンだったな。今日の試合に関しては負けたと思う」と潔く完敗を認めた上で「俺は新日本一の男だ。ここで負けるわけにはいかない」と、前を見据えていた。