2025年は、サッカー日本代表にとって26年の北中米ワールドカップへの大きな分岐点となる。その中で、FW争いはどうなるのか。 25年が岐路になる理由は2つある。一つは、3月のアジア最終予選で出場権を獲得することが濃厚であること、そして、7…

 2025年は、サッカー日本代表にとって26年の北中米ワールドカップへの大きな分岐点となる。その中で、FW争いはどうなるのか。

 25年が岐路になる理由は2つある。一つは、3月のアジア最終予選で出場権を獲得することが濃厚であること、そして、7月にE―1選手権が開催されることだ。
 E―1選手権は過去大会同様に国内組を中心としたメンバーで挑むことが濃厚であることから、第2次森保ジャパンのレギュラー組でない選手にとっては格好のアピールの場となる。また、3月に出場権を獲得すれば、6月に開催されるアジア最終予選の2試合も抜擢される選手が出てくる可能性がある。ここまで最終予選ではメンバーを固定して戦ってきた傾向のある森保一監督も、昨年11月の中国戦のように門戸を開くはずだ。
 ウイングバックなどにポジションにおいては、これまでの「対アジア」で起用されていた選手から、「対世界」となったときに起用されるタイプが変わってくる可能性もあるが、FWというポジションにおいては求められるものは大きく変わらないだろう。北中米ワールドカップを目指すストライカーにとっては上記4人を意識しつつ、今年を格好のアピールの場にすることができる。

上田綺世が軸になる中で台頭した小川航基

 ここまでの森保ジャパンにおいて軸となってきたのは上田綺世。22/23シーズンにベルギーリーグで22得点を記録すると、23/24シーズンからオランダの名門・フェイエノールトでプレーしている。
 その名門チームでは出場機会が限られてはいたが、その万能型にしてどこからでも狙えるザ・ストライカーは日本代表の最前線の中心に。第2次森保ジャパンの初陣であるウルグアイ代表戦で出場すると、18試合に出場して14ゴール。ミャンマー戦(23年11月16日)でのハットトリック、アウェイ・ドイツ戦(23年9月9日)での得点、最終予選初めてのアウェイゲームであるバーレーン戦(24年9月10日)での先制ゴールを含む2得点など、要所で結果を残してきた。
 その上田が最終予選で先発の座を掴んでいたが、チームでの負傷により11月シリーズを欠場。誰が代わりに先発入りするか注目された11月15日のアウェイ・インドネシア戦で、そのチャンスを手にしたのが小川航基(NECナイメヘン)。先発メンバーに名を連ねると、先制点を演出。スコア上はオウンゴールとなったが、その嗅覚が相手の混乱を招いた。
 さらに続くアウェイ・中国戦でも先発すると、今度は自身の頭に合わせての先制点をゲット。さらに追加点を決めて、2ゴールと結果を残した。
 もともと、24年9月のアウェイ・バーレーン戦、同10月のアウェイ・サウジアラビア戦でもゴールを決めており、その得点力を見せていた中でチャンスを掴んで見せた。

大橋祐紀が代表で学んでいること

 その小川は、「僕の強みとしてヘディングがあるんですけど、引いてくる時間帯は絶対に出てくると思うし、そこで何が有効かと言ったらクロスだと思う。その中で自分がボックスの中で何ができるかが大きな鍵になってくる」と自身の長所がアジアを相手に戦ううえで武器になると説明。
 加えて、「素晴らしいパフォーマンスができる選手がたくさん揃っている中で、僕は前線で体を張ってキープして、そういった選手に前向きでいい形でプレーさせてあげるのが本当に大事」と、得点だけでなく、2シャドウをどうやって生かすかという部分でもイメージを膨らませていた。
 結果と内容の両面を加味して、上田と小川が現時点での森保ジャパンにおける軸と言えるだろう。
 上田が欠場したインドネシア戦で他に招集されていたFWは大橋祐紀(ブラックバーン)と古橋亨梧セルティック)。大橋はこれが2度目の代表選出で、10月シリーズのサウジアラビア戦ではベンチ入りしたものの、実際にピッチに立つことはできなかった。
 ただし、初めての召集で「学んだことがすごく多くて、この間の期間、自分のパフォーマンスは前回来たときよりも全然上がってると思いますし、できることも増えて内容も良くなってる」と充実感を口にしていた。
 そんな中でインドネシア戦の後半33分からデビューすることとなったが、ゴール前でのチャンスも得ながら無得点。「(コーチの)前田遼一さんからフォワードの動き方やいろんな話を聞いて、試合でトライして良くなってるっていう実感があります」と話していただけに、今後の躍動に期待するしかない。

■古橋亨梧を評価しながらも

 カタールW杯でも待望論が出ていた古橋亨梧については、多くの注目が集まっている。森保一監督も、久々の召集となった24年の11月シリーズにおいて、「古橋について代表召集はなかなか最近できていませんが、彼のプレーは行ける限りスタッフがセルティックの試合を現地で観て、毎試合、映像を通して確認はしてきている中で、私が言うまでもなく、彼がセルティックやヨーロッパの中で、結果を残してきている、チームで存在感のあるプレーをしてきていることで、今回、選ばせていただきました」と説明。
 そのうえで、「怪我の上田の代わりということも考えられるかもしれませんが、まったく代わりではなく、我々がふだんから選手を見ている中で、選ぶべき選手ということで選ばせていただきました」と実力を認めたうえで、「彼の特徴はゴール前でピンポイントで、合わせてゴールを奪いきる、仕留めることができる選手だと思っています」と評価ポイントを挙げた。
 一方で、インドネシア戦で大橋が途中出場して古橋がピッチに立てなかったことから、「大橋の方が序列において上」との見方もあったが、続く中国戦では逆の結果に。大橋には出場機会が与えられなかった中で、古橋は後半31分から出場している。
 大橋と古橋はほぼ同じプレータイムを与えられたことからも「競争」がうかがわれるが、古橋もこの試合で無得点。試合後、チャンスを迎えながらも結果的にオフサイドだった場面について、「オフサイドだとしてもオフサイドではなかったとしても、やっぱり振り抜いてなんぼだと思うので、そこが僕の甘さだと思います。もっと練習していきたい」と、思い切りの良さが出せなかったことを痛感。
 そのうえで、「アウェイで試合に出れた事はポジティブに考えてますし、もちろん次の3月に向けて、狭い所でより精度を高めていくこと、ちょっとしたところでターンするだったり周りの選手を生かしながらっていうのをもっともっと磨いていけたらなって思うし、一番の自分の持ち味はゴール決めるとこだと思うので、そこをよりこだわっていきたい」と前を見据えていた。
 24年の最後の召集機会において名を連ねるのはこの4人だが、25年はさらなる抜擢があるかもしれない――。
(取材・文/中地拓也)
(後編へつづく)

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