「栄光楯・新春広島ダービー」(5日、宮島) 年またぎの開催となった「広島ダービー」は、2024年の大みそかに開幕し、2025年1月5日に閉幕した。 オール3連対で7勝を挙げ、シリーズをリードし続けた辻栄蔵(49)=広島・74期・A1=が逃…

 「栄光楯・新春広島ダービー」(5日、宮島)

 年またぎの開催となった「広島ダービー」は、2024年の大みそかに開幕し、2025年1月5日に閉幕した。

 オール3連対で7勝を挙げ、シリーズをリードし続けた辻栄蔵(49)=広島・74期・A1=が逃げ切り、第48回大会以来となる広島ダービーVを飾った。

 シリーズ序盤から事故が相次いだ今大会はまさにサバイバル。3000勝レーサーの西島義則は2度の転覆で早々とV戦線から姿を消し、前年覇者の山口剛も、山口を破ってドリーム1着の大上卓人も、さらには2024年にV7と活躍した船岡洋一郎も、インで負けるなど好配当が連発。生き残りを懸けた熾烈(しれつ)な戦いが続く中で、ただ一人失敗しなかった男・辻が予選トップ。準優、優勝戦もインで勝利を収め、人気に応え続けた。

 優勝戦は1号艇の辻だけがフライング一本持ち。地元初優出の津田陸翔はチルト2度の伸び仕様。レースは、3~5コースの山口、船岡、大原祥昌は0台S。1コースからコンマ13の辻が6番手Sとなったが、力強く伸び返して1周1Mを先制。山口のこん身のまくり差し、大上の差しを封じバックストレッチで先頭に立った。だが、そこからが長い道のり。1周2Mを先に回っても、大上、山口、船岡がすぐ後ろで2着争い。2周1Mで、全速ターンの大上が2番手に浮上するや、今度は2周2M差して先頭の辻に迫る勢い。ホームストレッチで一瞬グラッとなった辻は、ヒヤッとさせられたが、体勢を立て直して3周目へ。終始後輩たちに追い掛け回されながら、最後まで懸命に逃げ切った。

 激闘を終えた辻は、「疲れた~。行き足から伸びは良かったが、ターンがねっとりしてへばりつく感じ。回転不足でしたね。でも1着は1着」と晴れやかな笑顔。猛追2着の大上に、「追い掛け回さんといてや~。それ、受け付けてないよ~。ワッハッハ」と皆の爆笑をさらい、「辻さん、初優勝の選手みたいでしたよ」と山口剛からきつ~い一発を浴びても平然。「31年も走っていればこんなこともありますよ」と後輩のツッコミにも笑顔で対応した。

 連日ヒリヒリとした緊張感に包まれた広島ダービーだったが、皆が全力を出し切った優勝戦後はアットホームな空気感が漂っていた。2024年はSGを主戦場とする山口と、一般戦でVラッシュの船岡に圧倒されていたが、2025年の幕開けは「辻栄蔵ここにあり」を存分に見せつけた、圧巻の辻劇場だった。