広島・床田寛樹投手(29)が新春インタビューに応じ、30歳で迎える今季への意気込みを語った。昨季は2年連続でチーム最多となる11勝をマーク。バットでも好打で存在感を示すなど、充実の1年を過ごした。今季は変化球中心の投球スタイルを見つめ直し…

 広島・床田寛樹投手(29)が新春インタビューに応じ、30歳で迎える今季への意気込みを語った。昨季は2年連続でチーム最多となる11勝をマーク。バットでも好打で存在感を示すなど、充実の1年を過ごした。今季は変化球中心の投球スタイルを見つめ直し、直球を磨くことを宣言。エースへの思いや、投球テンポのこだわりなどを熱く語った。

 -あけましておめでとうございます。

 「おめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

 -まずは昨季を振り返って。

 「8月まではいいシーズンだったんですけど、勝負どころの9月でつまずいてしまった。そこで僕が止められたら、1個勝っていたらどうなっていたのかなとは思います」

 -勝負の9月ではプレッシャーもあった。

 「優勝争いになって負けられない試合が増えて、ピンチがピンチらしくなった感じですかね。同じ2死二塁でも、9月とそれまででは気持ちが違いました。9月になってからは『やばい負けるかも』というのがあった。前半はそういう気持ちが一回もなかったんですよ。絶対に勝つという気持ちをもっと強く持たないと、のみ込まれてしまうのかなと思いました」

 -自身は2年連続でチーム最多の11勝。

 「もっとできたとは思ってます。一昨年は肘が痛い中でも、のらりくらり初めて2桁勝てた。でも昨年は肘が痛くもなかった中で、一昨年と一緒というのは寂しいなと思います」

 -3月には30歳になり、シーズンを迎える。20代を振り返って。

 「終わってみれば、早いですね。もう30歳か。こんなに長くプレーできると思ってなかったです。手術もありましたし、ここまで順調にって感じじゃなかった。結果が出たのもここ2年だけなので。でも成長しているなとは思います」

 -この年齢になって全盛期を迎えるイメージはあったのか。

 「全くなかったですね。プロに入って何年かは、1軍と2軍を行ったり来たりして、『この試合が勝負』っていう目の前の勝負が多かった。それがここ何年かで変わりましたね。先を見られるようになったというか。1試合先だけじゃなくて、何年か先まで」

 -1軍でイニングを重ねた経験が成長につながっている。

 「結果がついてくるようになってからは、気持ちの余裕ができましたね。今までだったら、この打者を抑えようと目先のことしか見えていなかった。それが『この打者はいいから次の打者で勝負しよう』とか、『ボール気味に誘って打たせよう』とか余裕が生まれた。それがプラスに働いているんだと思います」

 -ここから先も活躍するための取り組みは。

 「もう一度直球を磨きたいですね。ここ2年の変化球でかわしながらのピッチングは35、36歳でもできるようなピッチングなんですよ。この投球を今やり続けてしまったら、たぶん長くは持たないと思うんですよね」

 (続けて)

 「(23年6月に)長女が生まれてから考えが変わったんですよ。それまでは、プロになれたことを宝くじが当たったみたいな感じで思ってて、できるところまででいいやと思ってました(笑)。でも今は1年でも長くやりたい。この子のために1円でも多く残しておきたい。苦労させたくないなと。サイドスローとかに変えたりしてでも、しがみついてこの世界で長くやりたい。そうなれれば最高かなと思いますね。1年でも長く活躍するために、ここでもう一度ギアを上げるというか、直球を磨いて自分の投球スタイルを見つめ直したいです」

 -貯金をつくることが理想。

 「負けない投手が一番強い。昨年の菅野さんは15勝して3敗ですもんね。1人で貯金12はバケモンです(笑)。でも、目指すところはそこなのかなと。最高勝率のタイトルが一番価値があると思うので」

 -最高勝率のタイトル獲得の条件としては13勝以上が必要となる。

 「そこが最低ラインですね。最低でも貯金5はしたいです。ただ、究極を言えば、5勝0敗でもいい。勝ちは自分ではどうしようもない部分があるので、負けを減らしたいですね」

 -貯金を作るために。

 「先制点を与えないのが一番大事なんじゃないですかね。そのためには先頭打者を取る、無駄な四球を出さない。この3つができれば、たぶん数字は勝手についてくると思います」

 -2年連続でチームの勝ち頭。「3年連続で結果を残して一流」という言葉もある。

 「そうですね。3年連続で2桁勝てれば一人前になれる。圧倒的な成績を3年残せばエースになれると思ってます。でも正直、去年までの2年間は微妙、微妙ときていて今年も微妙となるとエースにはなれない。でも3年間、何とか結果を残せれば、4年目にエースになれる可能性が残るじゃないですか。来年以降にエースになれるチャンスをつないでいく意味でも、今年は大事だと自覚しています。エースへの階段を上っていきたいです」

 -こだわりのある打撃を振り返って。昨季は8安打だった。

 「後半ちょっと安打のペースが落ちちゃいましたね。最初は僕と森下でいい感じに競ってて、『15本打ちたいね』と話をしてたんですよ。今年の目標は15本。10本は最低ラインですね。15本打ったら3割いくでしょ!」

 -印象に残る打席は。

 「やっぱりオールスターでのヒットじゃないですかね。あれはプロになって一番うれしかったです。オールスター打率10割ですから(笑)」

 -床田投手といえば、投球テンポの速さも持ち味だが。

 「これは昔からですね。自分の投げやすいタイミングで投げている。おととし、去年ぐらいからはいかにリズムよく守備を終わらせて攻撃につなげていくかと考えている時もあります。チームが勝つために確率が高い方を選んでます」

 -捕手のサインに首を振る回数も極端に少ないように見える。

 「決め球というか、追い込んでからの投球以外、首は振らないですね。たまに『ん?』っていうサインが出るんですけど、僕がそう思うってことは、打者も頭にない球種とコースということ。そういうサインが出ると『ああなるほどね』みたいな感じで納得して投げてます。『それもありやな』って考えますね。でも、『絶対これしかない、ここで決めたい』と思った時は首を振ります。イニングや点差、ターニングポイントになりそうだなと感じ取った時は、自分の自信のある球を投げます」

 -背番号が「19」に変わる。

 「まずは、野村さんの19番を汚さないようにしたい。ここ2年は結果は残ってるんですけど、自分の中で殻を破りきれていない部分もある。心機一転というか、『もっとできる、もっと勝ちたい』と思っているのを投球で出せるように。この番号を背負うからには、野村さんのキャリアハイ(16年の16勝)を超えないといけない。それがいいモチベーションになりそうです」

 -最後に今季への意気込みを。

 「ビールかけしたいですね。かつチームの中心にいたいです。17、18年の優勝の時は、もちろんうれしかったんですけど、(2軍にいて)直接、胴上げは見てないので、悔しい気持ちもあった。できるなら自分が引っ張って、先頭に立って優勝したいです」