2025年シーズンに向け、移籍動向が活発化している。J1に目を向けると、今冬は約半数のチームの指揮官が入れ替わる。それに伴って必要な戦力も変化するため、マーケットがより一層、動くのだろう。 さまざまな戦力入れ替わりが起こる中、今季不完全燃…

 2025年シーズンに向け、移籍動向が活発化している。J1に目を向けると、今冬は約半数のチームの指揮官が入れ替わる。それに伴って必要な戦力も変化するため、マーケットがより一層、動くのだろう。

 さまざまな戦力入れ替わりが起こる中、今季不完全燃焼に終わった面々は復活を目論んでいる。「2025年こそは持てる力を出し切り、圧倒的な存在感を示したい」と闘争心を燃やし、オフシーズン期間も精力的に調整している者も少なくないと見られる。
 とりわけ、日本代表経験のある選手たちは「このままでは終われない」という危機感が強いだろう。今夏、欧州から戻ってきた中山雄太相馬勇紀(ともに町田)、西村拓真(横浜→町田)、林大地(G大阪)、田川享介(鹿島)らは総じて今季苦戦しただけに、期するものがあるはずだ。
 まず中山と相馬だが、町田入りして後半戦のキーマンになると目されたが、中山は9月14日のアビスパ福岡戦で右ヒザ内側じん帯を損傷。2か月以上の離脱を強いられた。シーズン終盤の11月30日の京都サンガ戦で復帰を果たしたものの、彼を守備陣の主軸に据えたかった黒田剛監督にとっては誤算だったに違いない。

■決意の町田移籍

 相馬の方も加入直後の8月に負傷。そこから徐々に状態を引き上げ、出場時間も伸ばしていったが、最終的にリーグ戦のゴールは11月9日のFC東京戦の1点にとどまった。アシストもゼロ。高い基準を追い求める本人にしてみれば、この数字に納得できるはずがない。2026年北中米ワールドカップ(W杯)を視野に入れても、2025年は圧倒的なパフォーマンスが必要。巻き返しを期待するしかない。
 第2次森保ジャパン最初のゴールを挙げた男・西村拓真も今季後半戦の得点数は3と本来の実力を出し切れたとは言い切れないところがあった。彼の場合はAFCチャンピオンズリーグACL)エリートにも参戦。そちらの貢献度も高かったが、「何かを変えなければいけない」という思いは日に日に強まる一方だったのだろう。それが町田ゼルビア移籍という形になって表れた。新天地で最大の得点源となってチームをタイトルへとけん引できれば理想的。彼自身もW杯への野心を内に秘めているだろうから、やはり2025年に勝負をかけるしかない。
 2022年に一度、A代表招集歴がある林大地、2019年E-1選手権で香港相手に初ゴールを奪っている田川享介も期待外れに終わっている。
 林の場合は昨季プレーしていたニュルンベルクで痛めたひざの状態が完治していない中、ガンバ大阪へ移籍。合流直後はずっとリハビリを強いられていた。10月になってようやく出場のメドが立ち、10月18日の川崎フロンターレ戦で5分間だけ出場したが、足の状態が芳しくなかった様子。その後は再び試合から遠ざかったまま、シーズンを終えることになってしまった。
 ご存じの通り、今季のガンバは宇佐美貴史の得点力への依存度が高かった、最終的には21歳の成長株・坂本一彩が2ケタゴールを達成したが、まだまだ足りないのも事実だ。林が来季完全復活してくれれば、状況は大きく改善しそうだ。そういう意味でも、彼にはいち早くフル稼働できる状態を作り上げてほしいところだ。

■広島のタイトル獲得のために

 田川に関しても、8月に入ってチャヴリッチが負傷。FWの陣容が手薄になったため、新たな得点源として期待されたが、ベンチにさえ入れない状態が長く続いた。それはランコ・ポポヴィッチ監督から中後雅喜監督へとスイッチした10月以降も変わらなかった。
 来季の鹿島アントラーズはレオ・セアラ加入が確実視されるため、FWの選手層は確実に増す。そこに田川はどのように割って入るのか。キャリアを大きく左右するシーズンになるのは間違いないだろう。
 そしてもう1人、サンフレッチェ広島の満田誠も2025年はV字回復を果たしてもらわなければならない人材だ。大卒新人だった2022年に9ゴールを挙げ、同年夏のE-1選手権にも参戦した男は2023年が4点、2024年が3点とゴール数が下がってしまっている。
 昨季はケガの影響もあったが、今季は単純に松本泰志川辺駿らとの競争に敗れる形になった。背番号11をつけている以上、このまま下降線を辿ることは許されない。ミヒャエル・スキッベ監督体制4年目の広島のタイトル獲得のためにも、彼には再ブレイクを強く求めたい。
(取材・文/元川悦子)
(後編へつづく)

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