<新春インタビュー>覚悟とともに変化する1年へ。カブス鈴木誠也外野手(30)が日刊スポーツの新春インタビューに応じ、米大リーグ4年目への思いを語った。24年は日本人の右打者で初の2年連続20本塁打を記録。OPS・848はナ・リーグ8位だった…

<新春インタビュー>

覚悟とともに変化する1年へ。カブス鈴木誠也外野手(30)が日刊スポーツの新春インタビューに応じ、米大リーグ4年目への思いを語った。

24年は日本人の右打者で初の2年連続20本塁打を記録。OPS・848はナ・リーグ8位だった。それでも本人に満足感はない。紡がれた言葉から感じられたのは、飢餓感だった。米大リーグで3年プレーした現在地から今年の日本開幕戦まで、鈴木が胸の内を明かした。【取材・構成=前原淳】

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-米大リーグ移籍後、節目の3年目を終えた

鈴木 毎年違う状況でいろんなことが起きて日々勉強といいますか、いろんな経験ができました。その中で対応力はついたかなと。3年目も成績はゴミでしたが、1年間あまり波なくできたので、1、2年目になかった成長かなと思います。

-23年シーズンの終盤は感覚が良く、成績も上向いた。24年の感覚は

鈴木 23年の後半はしっかりハマッて、ずっといい感じだったんですけど、24年はそんな感じじゃなかった。全部が全部悪いわけではないんですけど、なかなか(好感覚が)続かないとういかハマった感覚がほとんどなかった。毎日試行錯誤しながら、ずっと気持ち悪い感じが続いていました。

-それでも打率2割8分3厘、21本塁打、73打点、OPS・848と好成績

鈴木 「こいつ、終わったな」という数字ではなかったので、かろうじて生き残れたかなという感じですけど、僕自身は何も納得していません。個人的にはその“生き残った”というのが大きい。米国には替えの選手がいっぱいいるので、ダメだったら落とされる。調子が良くなかろうが、感覚が良くなかろうが、結果をある程度は残し続けないと試合に出続けることができないので、“生き残れた”という感覚です。

-並み居る強打者のいるナ・リーグでOPS8位

鈴木 耐えられたという感じです。いい感覚が出ないのは、自分の技量不足。それが今の実力だと思うんですけど、改善の余地はある。1年目もそうですけど、2年目と3年目の成績って、ほとんど同じじゃないですか。何かを変えないと、変わらない。

-常に失敗を恐れず、変化を求め続けている

鈴木 今のままでも同じくらいは打てると思うんですけど、それじゃ面白くない。もし、違うと思えば戻るところはある。良くなるかは分からないですけど、挑戦しないと現状は変わらない。もし悪くなったら辞めたらいい。ずっと同じことをやっていても面白くないですから。

-昨季途中から指名打者での出場が増えた

鈴木 チームの不安材料になるからだと思います。エラーして、使えないと思われたんでしょう。僕が監督でも外すと思います。シーズン終盤の負けられない状況になっていたので、自分でもこれはまずいなと。そこは察していました。

-あれだけ多くの試合で指名打者で出場したのは初めての経験

鈴木 右翼だと守りもあるし、攻撃中もベンチで待機しているので、試合勘や試合の流れがある中で打席に入れるんですけど、DHだと打撃オンリーになる。打席が終われば、長いときには30分、次の打席が回って来ない可能性もあるので、準備の仕方がまず分からなかった。準備しようと裏に行かないといけないので、試合を見られない。映像で見ても試合の雰囲気は分からないので、ただ打ちに行っているだけみたいな。自分の中でも流れがないので、常に自分との戦い。周りと温度差も感じていたので、その難しさは初めての経験でした。年齢を重ねれば、いつかは指名打者に入ることはあると思うので、そういう意味で切り替えてやっていました。後半は良くなってきたので、指名打者としての入り方やベンチでの過ごし方は勉強になったかなと思います。

-プレースタイルとして、打つだけでなく、守ることも走ることも大事にしている

鈴木 そうですね。指名打者だけでやるのは、僕のプレースタイルではないと思っています。自分の能力が落ちたら辞めればいいだけ。ただ、まだやれると思っている。もちろん、ボーンヘッドをなくさないと出られないことは分かっていますし、ミスはなくしていかないといけない。そこはもう1回、練習しようと思っています。

-今オフ、何度かトレードのうわさが報じられた

鈴木 それは僕にも分かりません。そういうことが頻繁に起こるリーグなので、そこに抵抗感はありません。神のみぞ知る、という感じです。

-今年3月にはカブスとドジャースが日本で開幕戦を迎える

鈴木 不思議な気持ちです。ユニホームが変わって、日本のチームじゃないのに、東京ドームで試合をする。日本では鳴り物応援の中でプレーしていましたけど、メジャースタイルでは鳴り物がない。翔平(大谷・ドジャース)とか、ほかのメジャーの打者の打球音がどんなんだろうと気になるし、違った視点でやれると思います。ベンチもきっと汚くなるでしょうけど、それは昔からのメジャースタイル。そこも楽しみのひとつとして見てもらいたいし、いろんな意味でメジャーというものを味わえるんじゃないかと思います。

-投手大谷との対戦の可能性も

鈴木 もし、対戦できれば楽しみですね。日本では1度、日本シリーズで対戦したことがありますけど、まだメジャーでは1度も対戦していないので、当時とは全然違うと思いますし、楽しみですね。