◇第101回東京箱根間往復大学駅伝競走復路(3日、神奈川・箱根町芦ノ湖スタート~東京・千代田区大手町読売新聞社前ゴール=5区間109・6キロ) 箱根駅伝で覇権を競った青学大の田中悠登主将(4年)と国学院大の平林清澄主将(4年)は、ともに、福…
◇第101回東京箱根間往復大学駅伝競走復路(3日、神奈川・箱根町芦ノ湖スタート~東京・千代田区大手町読売新聞社前ゴール=5区間109・6キロ)
箱根駅伝で覇権を競った青学大の田中悠登主将(4年)と国学院大の平林清澄主将(4年)は、ともに、福井・武生市(現越前市)の出身。毎年11月3日に開催される地元の「菊花マラソン」で小学校時代から同じレースで競い合っていたライバルであり、盟友だった。6年生の時は田中が7分59秒で9位、平林が8分46秒で43位(出場268人)という記録が残っている。
中学生になると、田中は武生二中で県トップクラスの選手に成長。平林はバドミントン部に所属しながら陸上、駅伝の大会にも出場していた。中学3年時に県駅伝南越地区大会で2人が1区でデッドヒートを繰り広げたことは地元では語り草になっているという。
越前市の山田賢一市長は両主将に最大限の賛辞を贈った。「箱根駅伝の優勝を争う強豪チームのキャプテンを越前市出身選手が務めていることが大変、誇りに思います。同じふるさとで育った2人が大舞台で輝く姿は市民に大きな感動を与えてくれると思います」
越前市の人口は8万人弱。それほど大きくない町から優秀なキャプテンがなぜ2人も誕生したのか? 山田市長は「長い間伝統を守ってきた強さ、ひたむきさ、勤勉さが市民には備わっているからだと確信しています。長い冬を耐え抜く粘り強さもあり、物事に誠実に取り組む姿勢も特徴です」と言葉に力を込めた。
戦いを終えた田中と平林は大手町で顔を会わすと、がっちり固い握手を交わした。田中は「出雲駅伝、全日本大学駅伝は本気で勝ちにいって国学院大に完敗しました。国学院大のおかげで青学大は強くなれました。国学院大チーム、そして、キャプテンの平林に感謝したい」と熱い口調。最後に「福井で平林とうまい酒が飲みたい」と話すと、平林も満面の笑みで「間違いない」と笑顔で返した。
2024年は越前市ゆかりの紫式部を主人公としたNHK大河ドラマ「光る君へ」が放送され、越前編も話題になった。田中と平林は、まさに「光るキャプテン」だった。(竹内 達朗)