「箱根駅伝・復路」(3日、箱根町芦ノ湖駐車場~大手町) 異例の“赤門リレー”が実現した。オープン参加の関東学生連合は、東大の秋吉拓真(3年)が8区で7位相当の1時間4分45秒で快走。さらに、当日変更で9区に投入された古川大晃(29)=東大…
「箱根駅伝・復路」(3日、箱根町芦ノ湖駐車場~大手町)
異例の“赤門リレー”が実現した。オープン参加の関東学生連合は、東大の秋吉拓真(3年)が8区で7位相当の1時間4分45秒で快走。さらに、当日変更で9区に投入された古川大晃(29)=東大大学院=にタスキをつなぎ、古川は1時間11分52秒で力走した。
戸塚中継所で“赤門リレー”が実現した。東大生の秋吉から、東大院生の古川にタスキがつながれた。東大として1984年大会に一度だけ出場しているものの、連合チームで東大ランナー同士によるリレーは異例。古川は「(同じチームで)苦楽をともにした秋吉とリレーできて、僕にとって史上最強のチームメートだったので、彼とタスキをつなげたことは幸運で素晴らしい経験」と感慨を込め、東大生として箱根経験もある近藤秀一コーチ(29)らも協力しており「東大総動員で戦った」と胸を張った。
さらに、目を引いたのが横浜駅前の給水所だった。力走する古川を白髪の男性が待ち受けていたが、長く部長を務めてきた八田秀雄教授(65)だった。「乳酸代謝、運動と疲労」を研究する権威で、古川が熊本大生時代からランナーとして目をかけてくれており、研究活動でも相談に乗ってもらった恩人に今回給水を打診。「最近は毎日のようにメールで励ましの言葉と給水の打ち合わせをして、『右から渡すか、左から渡すか』『どのくらい(ドリンクを)入れるか』とか、丁寧に付き合ってくれた」と笑った。
東大教授の“力水”に古川自身も感激。「八田先生、こんなに走れるんだ、って。結構(長く)並走してくださって感動した。打ち合わせではボトル1本だけ渡せればということだったが、水とドリンクの2本も渡してもらえて」。八田教授の心からのバンザイも背に、エネルギーに変えた。
現在、集団走のメカニズムを力学的に解明する研究に取り組んでいるという29歳。夢の箱根路を経て、今後の目標については「世界で一番の博士号ランナーになりたい」と、マラソンでの2時間10分切りを掲げた。
◇古川大晃(ふるかわ・ひろあき)1995年10月9日、熊本県出身。熊本・八代高、熊本大と進み、九州大院を経て東大院に進学。博士号を取得した。自己ベストは5000メートルで14分3秒20、1万メートルは29分08秒79。176センチ、61キロ。
◇秋吉拓真(あきよし・たくま)2003年5月23日、千葉県出身。兵庫・六甲学院中を経て六甲学院高から東大に進学。自己ベストは5000メートルで13分50秒09、1万メートルは28分49秒27。173センチ、55キロ。