「箱根駅伝・復路」(3日、箱根町芦ノ湖駐車場~大手町) 往路首位の青学大が、10時間41分19秒の大会新記録で2年連続8度目の総合優勝を果たした。優勝回数は駒大に並び、史上6位タイとなった。 “ケツ”の10区で、国学院大のタスキを託された…
「箱根駅伝・復路」(3日、箱根町芦ノ湖駐車場~大手町)
往路首位の青学大が、10時間41分19秒の大会新記録で2年連続8度目の総合優勝を果たした。優勝回数は駒大に並び、史上6位タイとなった。
“ケツ”の10区で、国学院大のタスキを託された吉田蔵之介(2年)が大役を果たした。4位でスタートし、1秒差で前にいた早大にピタリと背後について並走。しっかりと脚を温存し、17キロ付近でギアを上げて抜き去ると、そのまま逃げ切って過去最高に並ぶ3番手でゴールテープを切った。しびれるデッドヒートを制し「絶対に諦めないつもりだった。仕掛けて攻め切れた」と胸をなで下ろしつつ、「もっと離したかったが、力不足。来年は優勝したい」と歯を食いしばった。
父は音楽グループ・ケツメイシの大蔵。蔵之介という名前も、父の「蔵」の字を取ってつけられた。高校時代までは親子であることを周囲に隠していたが、全国高校駅伝のアナウンスで暴露された。「いつか区間賞とかを取れたら、自分で言おうかと思っていたが、ちょっと早かった(笑)」。レース前にだけ聞く勝負曲は、ケツメイシの「覚悟はいいか」。憧れの箱根路を目指し、覚悟を持って臨んできた。
1年時の前回大会は9区で区間5位と奮闘。今回は3冠も懸かっていたチームのアンカーに抜てきされた。直前には父から激励の電話もあった。「レースを楽しんで走ってきて」。残り3キロ付近では、3時間前から一番乗りで待っていた父・大蔵が、「蔵之介」と書かれた特製タオルを掲げているのが見えた。「うれしかった。元気が出た」。大歓声の中で声は聞こえなかったものの、その姿だけで十分だった。
父の代表曲「夏の思い出」にちなみ、「冬の思い出」を誓ったものの、チームとしては3冠の夢は霧散した。「苦い冬の思い出になった。来年はうれしい冬の思い出にしたい。最強世代が卒業して、主力と言ってもらえるように」。桜舞い散る中のような栄光を目指す。
◇吉田蔵之介(よしだ・くらのすけ)2005年2月15日、東京都出身。父はケツメイシの大蔵。東京・代々木中、埼玉栄高と進み、国学院大2年。箱根駅伝は1年時の24年大会で9区を走り区間7位だった。1万メートルのベストは29分9秒05。182センチ、62キロ。