「箱根駅伝・復路」(3日、箱根町芦ノ湖駐車場~大手町) 9区15キロの給水地点で心温まるシーンが2度あった。箱根ファンも「初めて見た」と思わずつぶやくほど、101回目の大会を彩った場面だ。 まず先頭の青学大9区、田中悠登主将(4年)は給水…

 「箱根駅伝・復路」(3日、箱根町芦ノ湖駐車場~大手町)

 9区15キロの給水地点で心温まるシーンが2度あった。箱根ファンも「初めて見た」と思わずつぶやくほど、101回目の大会を彩った場面だ。

 まず先頭の青学大9区、田中悠登主将(4年)は給水で苦楽を共にしてきたメンバー外の片山宗哉(4年)と併走。今大会からチームで用意した飲料も給水可能となっており、給水係はチームドリンクと水を両手に持って併走することになっている。片山はチームドリンクを田中に手渡すと、自ら持っていた水のペットボトルとコツンと合わせて乾杯。シンクロするように、一緒に飲み干した。

 田中は「今朝、打ち合わせをしてこうしようっていう」と明かした。ネットでは「可愛すぎる」「もう素敵な青春ドラマ」「お前も飲むのかよ!」といった反響の声が集まり、給水を終え片山がきちんと一礼する姿もファンの感動を呼んだ。

 さらに学生連合では、当日変更で9区に投入された古川大晃(東大院)の給水係として、長く東大陸上部の部長を務めてきた65歳の八田秀雄教授も登場。白髪の恩師からドリンクを受け取ると笑みを浮かべて古川はゴクリ。直後、教授が両手を挙げてガッツポーズを繰り出し、エネルギーを送られた。

 箱根ランナーと65歳が並走するのもなかなか難しい中、見事に大役を務めた八田教授。古川は「八田先生、こんなに走れるんだ、って(笑)。結構並走してくださって、そこに感動した。打ち合わせではボトル1本だけ渡せればということだったが、水とドリンクの2本も渡してもらえて、こんなに(並んで)走れるんだって」と感謝の思いを口にしていた。

 八田教授は「乳酸代謝、運動と疲労」を研究する権威で、箱根駅伝の発展にも力を注いできた。実際に走るランナーだけでなく、チームをサポートする給水係にもスポットが当たった2つのシーン。連覇を果たした青学大・原監督は今回、妻で寮母の美穂さんをゴールに招き入れたが「いろんなことを犠牲にして夫婦でこの箱根駅伝を人生かけて戦っている。これまで奥さんをゴールに入れ込んだことは一度もないんです。でも裏方の人間を表に出したい。頑張った人が報われる社会を作りたい。その一つが今回なれたのかな」と語っていた。