「福岡県はバスケットの人気が高い地域。だからこそ、我々はB1にいるべきチームなんです」 そう語ったのは、今シーズンからライジン…

「福岡県はバスケットの人気が高い地域。だからこそ、我々はB1にいるべきチームなんです」

 そう語ったのは、今シーズンからライジングゼファー福岡のヘッドコーチに就任した浜口炎。2023-24シーズンはアシスタントコーチとしてチームに携わり、今季からヘッドコーチに昇格した。

 今季の福岡は、B1経験が豊富なジャスティン・バーレルやジョシュア・スミスといった選手を獲得。下馬評こそ高かったが、序盤は2勝6敗と苦しいスタートだった。

「ヘッドコーチに加えて選手も入れ替わった中、どうしても最初は噛み合わない部分がありました。もちろん他のチームも補強をして臨んでいるし、そう簡単にはいかないだろうと想定はしていました」

 しかし、10月27日のバンビシャス奈良戦に勝利して4連敗から脱すると、そこからクラブ最長となる19連勝を記録した。なぜ、ここまで勝てるチームに変わったのか。

「私自身、何か特別なことはしていません。とにかく練習をハードにやり続けること、オンコート・オフコートを問わず選手同士でコミュニケーションを取らせること、この2点を継続してきました。前評判が高い中、最初は選手も苦労したはずですが、粘り強くやってくれていると思います」

「強いて言えば、なるべく多くの選手を起用するようにしています。選手を少しでも長くコートに送って、いろんな経験をしてもらうことが、チームがステップアップするために必要だと考えるからです」

 徐々にチーム全体がフィットし始め、自慢のインサイドと高確率なアウトサイドで勝ち星を重ねている福岡。中でも、かつてヘッドコーチを務めた富山グラウジーズとの試合は、特別な想いがあったという。

「私以外にもスミスやアイラ・ブラウン、中村太地など、富山に関わりのあるメンバーが福岡には多くいます。知っている人もたくさんいましたし、なおかつ東地区の上位チームだったので、いつも以上に集中して試合に臨みました」

 B2第12節で東地区の富山と対戦した福岡は、Game1を78-58、Game2を84-81のスコアで勝利。特にGame2は第1クォーターで11-26と大きく引き離されたが、後半の粘りで見事な逆転勝ちを収めた。

「スタートで一気に点差をつけられた後、後半に逆転しましたが、自分たちがリードした展開でミスが重なりました。アウェーの環境で富山ブースターさんの雰囲気もすごいし、再逆転されてもおかしくない雰囲気でしたが、よく勝ち切ったと思います。チームとして非常に大きな1勝でした」

 その後も勝ち続けた一方、2024年最後の試合は神戸ストークスに敗戦。それでも21勝7敗、B2西地区首位で年を越すことになった。B1昇格プレーオフの進出、さらにはB1昇格に向けて、何が課題となってくるのだろうか。

「ディフェンスのトランジションは改善していきたいです。やはり私たちの強みはインサイドのディフェンスですから、守りから流れを作れるようにしたい。オフェンスリバウンドの確保に人数をかけても、当然リバウンドを取れないときが出てきます。そういった場面でもファストブレイクを許さない守りも遂行すること。B1に上がるために、その点を高めていく必要があります」

 昨年12月に開催された『SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会』では、福岡の強豪校、福岡大学附属大濠高校が優勝を成し遂げた。高校バスケ界をけん引する福岡県にあるプロチームだからこそ、B1昇格への想いは強い。

「福岡大大濠高校と福岡第一高校に代表されるように、福岡はバスケットが強い地域ですし、人気もあるんです。福岡のバスケ熱をさらに盛り上げるためにも、プロである我々がトップカテゴリーのB1にいるべきだと思います。なんとしてもB1にたどり着けるように、全員で戦い続けます」

 ライジングゼファー福岡を、いるべき場所に引き上げる。浜口ヘッドコーチの挑戦はこれからも続いていく。

取材・文=西本友