「箱根駅伝・復路」(3日、箱根町芦ノ湖駐車場~大手町) 最終10区でヒップホップグループ・ケツメイシの大蔵を父に持つ国学院大・吉田蔵之介(2年)が3位でフィニッシュした。 3位を争う早大と同タイムでタスキを受け取った吉田。序盤から早大・菅…

 「箱根駅伝・復路」(3日、箱根町芦ノ湖駐車場~大手町)

 最終10区でヒップホップグループ・ケツメイシの大蔵を父に持つ国学院大・吉田蔵之介(2年)が3位でフィニッシュした。

 3位を争う早大と同タイムでタスキを受け取った吉田。序盤から早大・菅野の背後にぴたっとつけ、淡々とリズムを刻んだ。10キロを越えても、15キロを越えても緊張感のある戦いが続く。17キロを過ぎた直後、初めて吉田が前に出た。長身を生かした大きなストライドでスピードを上げ、徐々に引き離した。

 3位でゴールテープを切ると、仲間に支えられ涙を流した吉田。ゴール後には平林らから「蔵之介、よく走った」とねぎらいの声を受け、思わず白い歯をこぼした2年生。プレッシャーのかかる戦いだったが、見事に役割を果たした。

 名前「蔵之助」は父の名前から「蔵」を取ってつけられた。父が有名人だということは高校時代まで隠していた。全国高校駅伝でのアナウンスで暴露され、「いつか区間賞とか取れたら自分で言おうかと思っていた。ちょっと早かった」と笑うが、「いずればれることだったのであまり気にはしていない」という。

 前回大会は9区で区間5位と奮闘した。今回も区間エントリーの16人に入ると、父は「16人に入れて良かった」と喜んだ。箱根路では「すごく注目をいただいているんですけど、あんまり考えないようにしている。緊張に押しつぶされるのが一番良くない」と自身の走りを意識した。

 レース前にだけ聞く勝負曲は「覚悟はいいか」。熱い歌詞には「よお覚悟はいいか?持てる全てを出したらいいさ」と書かれている。

 「レースを楽しむこと。楽しんで走ってきて」と電話で声をかけられていた父は、残り3キロ付近で自家製タオルを掲げて応援してくれていたという。「うれしかった。元気が出た」と笑みを浮かべ、父の代表曲にかけながら「苦い“冬の思い出”になった。来年はうれしい冬の思い出に」と次なる舞台を見据えた。