守備を固めてきたオーストラリアに苦戦した日本。こうした試合で勝ち点3を取れるチームに強化していきたい(C)Getty Images 北中米ワールドカップ・アジア最終予選。日本はここまで6試合を終え、5勝1分けでグループCの首位に立つ。202…
守備を固めてきたオーストラリアに苦戦した日本。こうした試合で勝ち点3を取れるチームに強化していきたい(C)Getty Images
北中米ワールドカップ・アジア最終予選。日本はここまで6試合を終え、5勝1分けでグループCの首位に立つ。2025年3月20日にホームで行われる次戦、バーレーンとの試合に勝てば、26年に行われる北中米ワールドカップの出場が決定する。
その場合、残る3試合は消化試合になるが、日程は不変だ。棄権することも、対戦相手を変えることもできない。日本代表は何を目指して戦うべきか。
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意識したい目標の一つとして、FIFAランキングの順位が挙げられる。24年12月時点で日本は15位。北中米ワールドカップのグループステージは、4チーム×12グループで開催されるが、現状の順位ならポット2に入る可能性が高い。この水準をキープしたいところだ。
いかに消化試合とはいえ、ワールドカップ最終予選という重要度の高い試合で敗れると、スコアは大きく下がる。FIFAランキングの計算上、消化試合の云々は考慮されないため、どの試合も勝利を目指す意味はある。
また、こうしたランキング以上に、重要な目的がある。言うまでもないが、日本代表のチーム力を上げることだ。ただでさえ、代表は活動期間が短い。消化試合の3試合であろうと、無駄にはできない機会だ。
以前ならこうしたアジアを舞台とした試合は、ワールドカップ向けの強化にはならないと囁かれてきたが、少なくとも今回は事情が異なる。北中米ワールドカップは出場チームが48に増える大会であり、日本がポット2で出場すれば、FIFAランキングで48位辺りまでの格下チームが2つ、同組に入る可能性が高い。
イメージしやすいのは、カタールワールドカップで戦ったコスタリカだ。日本から見れば、ランキングで格下となる対戦相手だったが、本番は0-1で敗戦した。大健闘したドイツ戦やスペイン戦とは内容が異なり、日本はのらりくらりと戦うコスタリカの守備を崩し切れず、逆に終了間際に失点を喫し、まんまと逃げ切られてしまった。
こういう相手から、いかに勝ち点3を挙げるか。北中米ワールドカップのグループステージは、カタールのそれとは事情が異なる。ともすれば、日本をリスペクトして対策を打ってくるかもしれない2つの対戦相手から、勝ち点3を挙げ、グループステージを突破することが求められるわけだ。
その意味では2か月前、日本代表はシミュレーションとも言えるような試合を経験した。10月にホームで1-1の引き分けに終わった、最終予選のオーストラリア戦だ。日本を分析し、固い守備を敷いてきた対戦相手を前に、日本のチャンスは乏しく、逆に76分に失点を喫してしまう。否が応でも0-1で敗れたコスタリカ戦を思い起こす展開だったが、日本は中村敬斗のゴールで、辛うじて引き分けに持ち込んだ。
まさに、あの試合。あのオーストラリア戦を勝ちに持って行く、その挑戦こそが、北中米ワールドカップ向けの対策になる。今年6月に予定されるアウェーのオーストラリア戦は、消化試合ではあるが、強化試合としても大変貴重な機会だ。あわや敗戦の冷や汗をかかされた借りも返さなければならない。
そして、この6月はホームでインドネシア戦も行われる。先月にアウェーで対戦したときも4-0で勝ったとはいえ、手強いチームだったが、次の対戦時は欧州クラブに所属する帰化選手のフィットが進み、より難しい相手に成長しているはず。すでにサウジアラビアを倒し、ポテンシャルの高さも証明済みだ。
オーストラリア、そしてインドネシア。6月の侮れない2試合は、ワールドカップ向けの強化として大事な機会になるのではないか。
もちろん、最終予選が終われば、日本は様々な国とテストマッチを組む。だが、親善試合は所詮、親善試合でしかない。本番の緊張感とは非なるものだ。たとえば日本をガチガチに分析して、怪我も厭わず戦ったり、時間を殺したり、0-0上等で戦ったり、そんなことは相手もしてこない。
一方、上記のオーストラリア戦とインドネシア戦は、相手が本気だ。ワールドカップ出場をかけた最後の真剣勝負であり、勝つためなら何でもやってくる。そういう試合で勝ち点3を挙げる経験こそ、本当の意味でワールドカップにつながる強化だ。さすがに怪我やコンディション不良を押してまでプレーする必要はないが、真剣勝負に応じる価値は充分にある。
まずは来年3月、ワールドカップ出場を決めること。そして6月の2試合を消化試合で終わらせず、本大会向けの強化を進めること。今度こそのベスト8へ向け、2025年は具体的な準備が始まる。
[文:清水英斗]
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