◇第101回東京箱根間往復大学駅伝競走往路(2日、東京・千代田区大手町読売新聞社前スタート~神奈川・箱根町芦ノ湖ゴール=5区間107・5キロ) 前年覇者の青学大が5時間20分1秒で2年連続7度目の往路優勝を果たし、2年連続8度目の総合優勝へ…

◇第101回東京箱根間往復大学駅伝競走往路(2日、東京・千代田区大手町読売新聞社前スタート~神奈川・箱根町芦ノ湖ゴール=5区間107・5キロ)

 前年覇者の青学大が5時間20分1秒で2年連続7度目の往路優勝を果たし、2年連続8度目の総合優勝へ王手をかけた。5区の若林宏樹(4年)は区間新記録の激走で中大を逆転。卒業を区切りに引退する「若乃神」は最後の山上りではゴール後に倒れるほど全ての力を出し切った。(晴れ、気温3・7度、湿度56%、北北西の風2メートル=スタート時)

 最後の力を振り絞った。首位の中大・園木大斗(4年)と45秒差の2位で小田原中継所をスタートし、9・5キロで逆転した後もペースを緩めず、芦ノ湖の往路ゴールに飛び込んだ。1時間9分11秒の区間新記録だった。「(4区の)太田が先頭が見える位置でタスキを持ってきてくれた。全員でつかみ取った優勝です。最高に気持ちよかった」。笑顔でテープを切ったが、ゴール後は立てないほど疲れ切っていた。

 1年時から5区を走り、区間3位で優勝メンバーとなった。しかし、出場予定だった2年時は元日に心身の不安を訴え、原晋監督(57)に欠場を申し出た。急きょメンバーを入れ替えた青学大は山で苦戦して3位。連覇を逃す結果になった。奮い立った。翌々日の5日に神奈川県内で20キロ上り坂タイムトライアルを敢行。山へのこだわりを再確認し、3年時は区間新記録の区間2位で再び優勝メンバーに返り咲いた。

 今大会、最後の5区へ絶好調で臨んだ。昨年11月に1万メートルで27分59秒53と大台を突破。山のスペシャリストはトラックでも学生トップクラスのスピードを誇るが、卒業を機に引退し、「日本生命保険相互会社」に一般社員として就職が内定している。日本学生陸上界で、1万メートル27分台の記録を持ちながら大学卒業を区切りに引退する初の選手となる。「実業団で競技を続けることを考えた時期もありましたが、3年生の時に、陸上は大学まで、と決断しました。中学生の頃から箱根駅伝が一番の目標だったからです。悔いはありません」と言い切る。

 原監督は1年時に「若の神」の愛称を授けた。4年で3度、往路のゴールテープを切る偉業を果たした若林を「横綱のような『若乃神』になりましたね」と最大限の賛辞を贈った。

 2年前はスタートできなかったが、今はすべての力を出し切ってゴールできるクライマーになった。若林宏樹は、最後の箱根路で集大成の走りを見せた。

(竹内 達朗)

 ◆若林 宏樹(わかばやし・ひろき)2002年9月3日、和歌山・下津町(現海南市)生まれ。22歳。下津二中3年時に全国大会3000メートル10位。京都・洛南高では全国高校駅伝1年5区14位、3年1区3位。21年に青学大地球社会共生学部に入学。自己ベストは5000メートル13分41秒32、1万メートル27分59秒53、ハーフマラソン1時間1分25秒。尊敬する選手は神野大地(31)=M&Aベストパートナーズ選手兼監督=。好きなタレントは上白石萌歌。弟の良樹は青学大陸上部1年。168センチ、53キロ。