◇第101回東京箱根間往復大学駅伝競走往路(2日、東京・千代田区大手町読売新聞社前スタート~神奈川・箱根町芦ノ湖ゴール=5区間107・5キロ) 前回13位の中大が往路で2大会ぶりの2位と大躍進した。区間賞を獲得した1区の吉居駿恭(しゅんすけ…
◇第101回東京箱根間往復大学駅伝競走往路(2日、東京・千代田区大手町読売新聞社前スタート~神奈川・箱根町芦ノ湖ゴール=5区間107・5キロ)
前回13位の中大が往路で2大会ぶりの2位と大躍進した。区間賞を獲得した1区の吉居駿恭(しゅんすけ、3年)が、遅いペースを嫌い、序盤から前に出るレースを敢行。22年大会に中大で区間新を出した兄・大和(トヨタ自動車)のレース動画を参考。背中を追いかけてきた兄に、肩を並べた。1996年以来の総合優勝に向けて、復路に挑む。
新春の箱根路で、駿恭がヒーローになった。タスキをつかんだ右手を大きく掲げ、1分32秒差つけて同級生の溜池に笑顔でリレー。「うれしかった。興奮していた」。大集団の前に出たのはスタートからわずか300メートル。「スローペースは嫌。きっかけを作るためにも前に出ようと思った」。後続は誰もついてこない。「うれしい旅になった。楽しく走れた」と歴代4位の区間賞。藤原正和監督(43)も「覚悟を持って行った」と満足そうに評価した。
22年大会が、脳裏に焼き付いている。兄の大和は中大2年時に1区5キロ過ぎで大逃げを打ち、区間新記録をマーク。チームは10年ぶりにシード権を獲得した。24年12月中旬に1区出走が決まると「兄の動画を結構見ていた。感動するし、自分もやりたい気持ちもあった」。スローペースを嫌い、兄の姿を想像しながら足を回した。中学校から同じ陸上の道を歩み、仙台育英高では19年全国高校駅伝で兄が3区、弟が7区で出走し、チームは優勝。大学も「仲の良い」という兄を追って中大に進学した。
肩を並べ「満足しています。大和兄ちゃんより早い段階で後ろを離せた点だけは、勝っているかな」とおどけた。レース後は、往路解説を務めた大和から「駿恭おめでとう」と優しい口調で祝福されると、「(レース展開は)想定はしていなかったんだけど、後ろと離れちゃったので行くしかないという感じだった」とうれしそうに答えた。
中大は勢いを落とさず2区から5区の9・5キロまで首位を守った。2位でゴールテープを切ったが、青学大とは1分47秒差。藤原監督も「何が起こるかわからないのが箱根駅伝。(青学大を)ピクニック(ラン)にしないように頑張りたい」と見据える。史上最多14回の総合優勝を誇る伝統校は、大手町のゴールまで決して諦めない。(手島 莉子)