箱根駅伝の3区を終えて3位の青学大は、首位の中大と2分24秒もの差があった。往路優勝へ「レッドゾーンに入りかけていた」と原晋監督。そんな局面を、2人の4年生の快走で鮮やかにひっくり返した。 まずは4区太田蒼生。中大の背中は、はるか前方で見…

 箱根駅伝の3区を終えて3位の青学大は、首位の中大と2分24秒もの差があった。往路優勝へ「レッドゾーンに入りかけていた」と原晋監督。そんな局面を、2人の4年生の快走で鮮やかにひっくり返した。

 まずは4区太田蒼生。中大の背中は、はるか前方で見えない。ならば、区間歴代3位の記録で快走した2年生の自分と勝負すればいい。「2年前の感覚より速く走れば、区間新記録にも近いはず」

 13キロ過ぎ。50秒差でスタートした2位創価大を抜くと、休まず前へ。2年前の自身の記録を11秒上回り、この区間日本人最高の1時間0分24秒で中継所に駆け込んだ。

 中大との差は45秒に。5区若林宏樹は昨年、区間新記録(区間2位)で走破した山登りのスペシャリストだ。最初の3キロでは差を広げられたが、積み重ねてきた自信があるから動揺しない。

 「自分がきついペースなら、相手もきついはず。(本格的な上り坂になる9キロ付近の)宮ノ下からグッと上げるのが、得意なので」。9.5キロ過ぎ。並ぶこともなく中大を抜き去った。昨年の自分を21秒上回り、1時間9分11秒の区間新記録を樹立。往路優勝をさらうどころか、2位と1分47秒の大差をつけた。

 「『勝てる』と言われた時の青学は負けてきた」と原監督。前評判が高かった今回の往路を勝ちきり「組織としての力がついてきた」と誇った。

 青学大は往路優勝した過去6大会で、いずれも総合優勝を果たしている。一時は黄信号がともっていたのがウソのように、連覇への視界はくっきりと開けている。(安藤仙一朗)