2月17日の2025年Jリーグ開幕に向け、年明け早々から新チームが続々と始動する。2023年はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)制覇、YBCルヴァンカップ準優勝、J1・4位という城定の成績を残していただけに、2024年のJ1・13位、ル…

 2月17日の2025年Jリーグ開幕に向け、年明け早々から新チームが続々と始動する。2023年はAFCチャンピオンズリーグACL)制覇、YBCルヴァンカップ準優勝、J1・4位という城定の成績を残していただけに、2024年のJ1・13位、ルヴァンカップ3回戦敗退という結果は受け入れがたいものがあるはずだ。

 マチェイ・スコルジャ監督の後を引き継いだペア・マチィアス・ヘグモ監督の戦術浸透がスムーズに進まなかったこと、シーズン途中の酒井宏樹(オークランドFC)、アレクサンダー・ショルツ(アル・ワクラ)、岩尾憲(徳島)、伊藤敦樹(ヘント)ら主軸の相次ぐ移籍、西野努テクニカルディレクター(TD=現横浜SD減)の退団、スコルジャ監督復帰後の得点力不足…など、要因を挙げればいくつもある。クラブとしては指揮官交代に踏み切った時点で「25年の再浮上に舵を切った」ということなのだろう。
 確かに9月以降は失点数が減少。23年シーズンのような堅守が戻ってきた印象もあった。一方で、得点が取れなくなった。相手にボールを保持させてカウンターが見事にハマった11月10日のサンフレッチェ広島戦などは3-0で圧勝し、10年ぶりに古巣復帰した原口元気も今季初ゴールを奪ったが、快勝といえるのはその試合くらい。「いかにして得点を取って勝つか」というのが、2025年の浦和の最重要テーマになってくるのは、紛れもない事実と言っていい。

チアゴ・サンタナは残留したものの…

 そこで攻撃陣を見てみると、スコルジャ監督がシーズン終盤に重用したブライアン・リンセンが退団。今季12ゴールのチアゴ・サンタナは残留したが、指揮官は前線からハイプレスに行けるタイプを好んでいるため、彼をずっと先発で使う可能性は低い。となると、誰をファーストチョイスに据えるかというのが大命題となる。
 候補者としては、横浜FCからレンタルバックが決まった高橋利樹、ユース育ちでアルビレックス新潟から獲得が本決まりになりつつある長倉幹樹のいずれかということになる。ただ、高橋は2023年の在籍時は左サイドでの起用がメインで、トップとは位置づけられていなかった。横浜FCで1年間コンスタントに出場し、J1昇格の原動力になったことで目に見える成長を遂げたのは確かだが、指揮官がどういう扱いをするかは未知数だ。
 となると、残された選択肢は長倉だ。彼も新潟では途中出場がメインだったが、ハードワークは十分できる。リンセンも得点力より守備の方を買われて使われていた。それを踏まえると長倉はいいチョイスかもしれない。ユースからトップに上がれず、順天堂大学、東京ユナイテッド、ザスパクサツ群馬を経由してJ1に駆け上がった泥臭いキャリアも含め、伸びしろのある彼を抜擢し、大きく成長させられれば、クラブとしても朗報ではないか。

■2列目アタッカーは豊富な陣容

 ただ、それだけでFIFAクラブワールドカップ(W杯)と天皇杯が加わる2025年の過密日程を乗り切るのは難しい。さらなるFWの補強も必要だろうし、複数クラブとの争奪戦を経て加入が本決まりになりつつあるマテウス・サヴィオ(柏)を最前線で使うプランも視野に入れるべきなのかもしれない。サヴィオは柏では左サイドを主戦場にしていたが、フリーマン的に幅広いエリアを動いて攻守両面に関与していた。そういう意味ではトップでもやれるだろう。
 浦和の2列目アタッカー陣には原口、関根貴大渡邉凌磨中島翔哉前田直輝、二田理央らがいるし、負傷離脱中の松尾佑介大久保智明もいずれ戻ってくる。そこに金子拓郎(コルトレイク)の獲得も有力視されるため、サヴィオをここで使うのはやはりもったいない。もちろん松尾や二田のトップ起用もありえるが、指揮官は果たしてどのような選択をするのか。どういう組み合わせで戦うつもりなのか。1月の新シーズン始動後のアクションが注目されるところだ。
 いずれにしても、タイトル奪還を目指すなら、2ケタゴールを取れる選手が3人くらいはいなければ難しい。ヴィッセル神戸大迫勇也武藤嘉紀宮代大聖のような主軸得点源を作れるか否か。そこが浦和の成否を大きく左右すると見ていい。
(取材・文/元川悦子)
(後編へつづく)

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