2025年はJ1を含めた国内タイトル奪還、FIFAクラブW杯上位進出を目論んでいる浦和レッズ。特に6~7月の世界的ビッグトーナメント参戦は選手個々はもちろん、クラブ全体を大きく飛躍させる絶好のチャンスだ。複数クラブで獲得教祖が繰り広げられ…

 2025年はJ1を含めた国内タイトル奪還、FIFAクラブW杯上位進出を目論んでいる浦和レッズ。特に6~7月の世界的ビッグトーナメント参戦は選手個々はもちろん、クラブ全体を大きく飛躍させる絶好のチャンスだ。複数クラブで獲得教祖が繰り広げられたマテウス・サヴィオが浦和を選んだと言われるのも、この大会の存在が大きかったのだろう。

 リーベル・プレート、インテル、モンテレイといった世界的クラブに勝つためには、やはり守備の強化は必要不可欠なテーマ。9月のマチェイ・スコルジャ監督復帰後は真っ先に守りの整備に取り組み、簡単に失点しない強固な組織ができあがりつつある。
 ただ、アレクサンダー・ショルツ酒井宏樹がいた2023年当時の基準に達しているかというと、必ずしもそうとは言い切れない部分もある。2025年は同等、もしくは上回るくらいレベルに到達させることを考えていくべきだ。
 それを念頭に置くと、人材的には少し足りない印象もある。特にセンターバック(SB)は佐藤瑶大名古屋グランパスへ移籍したことで、マリウス・ホイブラーテンと井上黎生人、流通経済大から加入する新人・根本健太の3枚しかいない状態になっているのだ。
 根本はJリーグ10クラブが争奪戦を繰り広げた左利きの大型DF。クラブ側も即戦力と大きな期待を寄せているはずだ。それだけのポテンシャルがあるのは間違いないが、ルーキーがいきなりフィットできるかどうかは一抹の不安もある。できればショルツのような外国人DFもほしいところだが、そこに関しては今のところ情報はない。今後の動向を見極める必要がありそうだ。

■SBの人材難の苦しんだ24年

 サイドバック(SB)についても、2024年当初は左SBの人材難に苦しみ、渡邉凌磨をコンバートする事態に直面している。途中から大畑歩夢が定着したが、彼は海外移籍を希望していて、近い将来にはチームを離れる可能性もあると見られる。
 そこで今回、荻原拓也(ディナモ・ザグレブ)から復帰させることが濃厚という。荻原も欧州では前目でプレーしていたが、UEFAチャンピオンズリーグも経験し、視座が高くなったのは間違いないだろう。球際や1対1という部分も成長して戻ってくるはずだ。今夏、サガン鳥栖から獲得した長沼洋一ももっとやれるはず。彼を含めた競争激化がチームを活性化してくれれば理想的だ。
 右SBについても石原広教が奮闘。しばしば関根貴大が穴を埋める形で乗り切ってきたが、今季もその形が続きそうだ。となれば、彼らにはさらなる守備力アップが求められる。2025年は勝負の年になるだろう。
 そしてボランチだが、24年は伊藤敦樹(ヘント)の移籍によって、シーズン終盤はサミュエル・グスタフソンと安居海渡の2人に負担がかかりすぎる状況になってしまった。一時は原口元気もその位置を担ったが、「自分はボランチの選手じゃない」と言い続け、最終的には左ウイングに移動したため、手薄感が最後まで続いた。

■ボランチは4枚必要

 クラブもその問題点を認識しており、町田ゼルビアへレンタルで貸し出していた柴戸海を復帰させ、サンフレッチェ広島で大きく成長した松本泰志も獲得するという大きなアクションを起こしたのだ。
 やはりボランチは4枚はいなければ、複数トーナメントを乗り切れない。そういう意味で彼らの補強は大きなプラス。デュエル系の柴戸、トップ下もこなせる攻撃的な松本が加わることで戦力のバリエーションも広がるし、組み合わせも多彩になるに違いない。
 中盤でボールを奪う回数が増えれば、最終ラインの負担も減るし、最後尾の西川周作もより思い切ったプレーができる。西川は同期の興梠慎三、1つ下の宇賀神友弥が引退したことで「自分がベテランとしてどっしり構えてチームを支えなければいけない」という思いを強めているはず。その彼のリーダーシップに依存しすぎることなく、他の面々が統率力を前面に押し出す集団になってくれれば、浦和の苦境脱出は叶うだろう。
 25年の戦力補強はまだ続く見通しだが、浦和が強くなければ日本サッカー界が盛り上がらないのは事実。Jリーグナンバーワンのビッグクラブの動向が大いに気になる。
(取材・文/元川悦子)

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