圧巻のひと言だった。昨年末のホープフルS。無傷の3連勝で2歳馬の頂点まで上り詰めたクロワデュノール(牡3歳、栗東・斉藤崇史厩舎、父キタサンブラック)には明るい未来が待っている。誰もが、その思いを強くしたはずだ。 デビュー戦の1週前追い切り…
圧巻のひと言だった。昨年末のホープフルS。無傷の3連勝で2歳馬の頂点まで上り詰めたクロワデュノール(牡3歳、栗東・斉藤崇史厩舎、父キタサンブラック)には明るい未来が待っている。誰もが、その思いを強くしたはずだ。
デビュー戦の1週前追い切り(24年5月29日)で、栗東・CWコースでラスト2ハロン11秒6―11秒2。抜群の脚力を見せつけていたが、末恐ろしい可能性を感じたのが、デビュー2戦目の東京スポーツ杯2歳S。5か月ぶりで24キロ増と明かな仕上がり途上だった。
「良くなってきているところかなという感じ」と斉藤崇調教師が週中に素直な胸中を明かしていたように、陣営のジャッジも控えめ。それでも4角2番手からメンバー最速タイの33秒3の末脚を繰り出し、勝ち切った。東京・芝1800メートルの新馬戦で史上最速となる1分46秒7をマークした潜在能力の高さを再認識した。
前記したホープフルSでも、ラスト4ハロンから11秒台が並んだ“激流”を自ら早めに動き後続に2馬身差。ラストは流す余裕すらあった。デビューからの2戦2勝が東京コースだったが、トリッキーな中山コースでG1初制覇。スタートセンスが良く、好位が取れる高い操縦性。好位から速い上がりも使える。「総合力が高い」と北村友一騎手が言うように現状では死角が見当たらない。
22年天皇賞・秋から国内外G1・6連勝を飾り、無類の強さを誇ったままターフを去ったイクイノックスと同じキタサンブラック産駒。“世界NO1ホース”にどこまで迫れるか。コントレイル以来、史上4頭目の無敗の牡馬3冠制覇も期待したくなる大器だ。(中央競馬担当・戸田 和彦)