昨夏のパリ五輪陸上女子やり投げで金メダルに輝いた北口榛花(26)=JAL=が、新年の抱負をスポーツ報知に寄せた。2024年のスポーツ界で大ブレイク。その勢いに乗り、25年の「初夢」に、アジア記録の更新と9月に東京・国立競技場で開催される世…

 昨夏のパリ五輪陸上女子やり投げで金メダルに輝いた北口榛花(26)=JAL=が、新年の抱負をスポーツ報知に寄せた。2024年のスポーツ界で大ブレイク。その勢いに乗り、25年の「初夢」に、アジア記録の更新と9月に東京・国立競技場で開催される世界選手権(世陸)での2連覇を掲げた。34年ぶり東京開催のビッグイベントで、6万人の大観衆が空を一斉に見上げる大きな放物線を描く。

 陸上界に歴史を刻み続ける女王が、2025年を明るくスタートさせる。9月に、1991年以来、東京で34年ぶりに開催される世界陸上へ、年明け早々に描く北口の初夢は「金メダルが目標」。国立を舞台に「また皆さんと一緒に君が代を聴けるように頑張りたい」と頼もしく宣言した。

 23年のブダペスト世界陸上と五輪で2度、世界一を経験し「一番の味を知ってしまったので難しいと思いますが、目指せる位置にいるからこそ言える言葉。また勝ちたい」と3度目の世界制覇を照準に定める。昨夏のパリ五輪は、女子トラック&フィールド種目で初の金メダルを獲得し、日本陸上界に歴史を刻んだ。大活躍だった昨年を振り返る漢字1文字に「波」を選んだ。結果を見れば順風満帆。しかし「簡単ではなかった。荒波の時も穏やかな波の時もあった激動の1シーズン」と振り返る。

 23年世陸を制して迎えた昨季。筋力強化中心の練習メニューで持ち前の柔軟性が失われ、4、5月は上半身が硬直するなどの異変に見舞われた。チームで話し合って、練習の負荷を修正して休みも増やし、細心の注意を払ってケアを徹底。何とか間に合わせてつかんだ金メダルだった。試合後に頬を伝ったのは「不安とか苦しみとかから解放された」という涙。「波を乗りこなせたからこそ、金メダルが取れたと思っています」とホッとした表情で昨季を振り返った。

 女王は今冬、さらに体に磨きをかける。様々な競技に挑戦し、やり投げに生かしていくのが北口流。持ち味の「柔らかさ」に「どう力を足していくかという作業」を課題に23年末からの冬季練習では水泳やバドミントン、体操の頻度も増やし鍛錬を重ねる。今季初戦に予定する5月3日のダイヤモンドリーグ(中国・蘇州)へ「自分がどう出来上がるか楽しみです」と目を輝かせた。

 25年の2大目標は世界陸上2連覇とアジア記録(67メートル98)更新だ。自己ベストは自身の日本記録を塗り替えた23年9月の67メートル38。「ゆくゆくは70メートルを目指していきたい」と、08年にシュポタコバ(チェコ)がマークした女子世界記録(72メートル28)を日本人で初めて塗り替える偉業にもアタックしていく。世界女王として迎える東京世陸の大舞台を「そういえば、私五輪チャンピオンだったなっていう感じで試合をするんじゃないかな」と思い描く。「パリ五輪ではテレビ越しで皆さんと一緒に金メダルを味わうことができたけど、現地で一緒に味わうチャンスがある。皆さんと一緒に最高の気分を味わいたい!」。パリ五輪の興奮を6万人を超える大観衆で埋まった国立競技場で再現―。もはや夢ではない。(手島 莉子)

 ◆世界陸上競技選手権・東京大会 東京・国立競技場で34年ぶり、日本では18年ぶりに行われる。日程は9月13~21日の9日間で、例年の大会よりも遅い時期での開催。大会第1日の午前8時同時号砲の男女の35キロ競歩で幕を開け、最終日の第9日に男子400メートルリレー決勝で締めくくる。スペシャルアンバサダーには2大会ぶりに、俳優の織田裕二(57)が就任し、大会を盛り上げる。

 ◆北口 榛花(きたぐち・はるか)1998年3月16日、北海道・旭川市生まれ。26歳。JAL所属。旭川東高、日大卒。五輪は2021年東京大会12位、パリ大会金メダル。世界陸上は22年オレゴン大会で銅、23年ブダペスト大会で金。19年に66メートル00で当時の日本新樹立、23年9月に67メートル38で更新。家族は両親。身長179センチ。