2025年シーズンを前に清水エスパルスのJ1復帰シーズンの陣容は固まっていないが、ハッキリしているのは権田修一の退団、北川航也、高橋祐治、沖悠哉、山原怜音、松崎快らの契約更新だ。 ルーカス・ブラガや原輝綺はすでに退団が発表され、カピシャー…

 2025年シーズンを前に清水エスパルスのJ1復帰シーズンの陣容は固まっていないが、ハッキリしているのは権田修一の退団、北川航也高橋祐治沖悠哉山原怜音松崎快らの契約更新だ。

 ルーカス・ブラガ原輝綺はすでに退団が発表され、カピシャーバや新外国人FW、小塚和季らの加入はあるものの、基本的なチームのベースは今季と変わらないのではないだろうか。
 そこで、各ポジションを見ていくと、まずGKは沖がレギュラーとしてチームを引っ張っていくことになるだろう。ご存じの通り、沖は鹿島アントラーズでプレーしていた2020・2021年は正守護神としてコンスタントに試合に出場。2021年夏の東京五輪代表の有力候補と目されたほどだ。

 その後、鹿島で早川友基の台頭によって出番を失い、2023年から清水に赴いたが、潜在能力の高さは折り紙付きだ。権田の退団によって、来季は久しぶりにJ1で継続的にピッチに立つ見通しで、本人も奮起しているはず。彼の失点阻止力が清水の命運を左右すると見ていいだろう。

■強固な守備組織の構築は不可欠なテーマ

 守備陣も高橋、山原、吉田豊らがまず残留。サンフレッチェ広島からレンタル移籍中の住吉ジェラニレショーンも完全移籍が発表され、今季の軸は変わらなそうだ。ただ、原の移籍後の右サイドバック(SB)はやや手薄になる。北爪健吾もいい選手だが、原と比べると攻撃のパンチ力が足りない。クラブもさらなる人材確保を考えているだろう。
 とにかく昇格クラブが残留しようと思うなら、強固な守備組織の構築は不可欠なテーマ。同じ清水のライバル・ジュビロ磐田が2024年に1年でJ2陥落を余儀なくされたのも、守りが不安定だったからだ。そこはボランチ陣の陣容含めて考えていかなければならない点。今夏、町田ゼルビアからレンタルで加入した宇野禅斗を残せるかどうかも注目点とされていたが、完全移籍での獲得が決定。宇野のようなデュエルに強いボランチが複数いれば、最終ラインの負担も軽くなる。そのあたりをどうしていくのか。来季始動時の編成が楽しみだ。
 アタッカー陣も北川、乾貴士矢島慎也の残留が決まってはいるものの、彼だけに頼っているわけにはいかない。外国人FWの入れ替えはもちろんのこと、今季の成長株である郡司璃来、西原源樹ら若手の成長も強く求められる。

■J1でも通用するゴールスコアラーは

 清水はもともとアカデミー出身の年代別代表選手は少なくないが、10代の逸材が右肩上がりで成長した例は残念ながら少ない。そこはクラブ全体の課題で、反町康治GMも問題視している点。すでにアカデミースタッフを集めた研修会を実施し、クラブとしてのフィロソフィーや指導方針の徹底を図っている。すぐに成果が出るとは限らないが、人口の少ない地方が本拠地の清水は才能ある選手を大きく伸ばさなければ、輝かしい未来が開けてこない。そこは今一度、注文しておきたい点である。
 特にJ1でも通用するゴールスコアラーが出てきてほしいもの。北川も来季は徹底的にマークされるだろうし、彼1人だけに決定力の部分を任せておくわけにはいかない。J1で躍進したいと思うなら、2ケタゴールを奪える人材が2~3人は必要。新戦力候補のアフメド・アフメドフの迅速な適応は重要だが、西原のような若手が一翼を担えるようになれば理想的だ。
 清水の補強は年明けまで続くだろう。その動向を踏まえつつ、2025年の清水が見る者を驚かせるほどの大躍進を遂げることを強く願いたいものである。
(取材・文/元川悦子)

いま一番読まれている記事を読む