今季7年ぶりの優勝を目指す広島。野手では矢野雅哉内野手(26)と坂倉将吾捕手(26)への期待は昨季以上に大きい。矢野は攻守で総合的なレベルアップを図り、坂倉は捕手としての全試合出場を目標に掲げる。投手では大瀬良、床田、森下の3本柱に次ぐ存…

 今季7年ぶりの優勝を目指す広島。野手では矢野雅哉内野手(26)と坂倉将吾捕手(26)への期待は昨季以上に大きい。矢野は攻守で総合的なレベルアップを図り、坂倉は捕手としての全試合出場を目標に掲げる。投手では大瀬良、床田、森下の3本柱に次ぐ存在として玉村昇悟投手(23)の一本立ちに期待。投打のキーマン3選手にスポットを当てた。

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 矢野は大卒4年目の昨季、自己最多137試合に出場し、打率・260、2本塁打、38打点をマーク。遊撃のレギュラーを奪取し、「苦しい時もあったけど、楽しく自分らしい野球ができた」と振り返る。ただ、「満足感はない。今年スタメンで出ることが大事」と慢心はなく、さらなるレベルアップを誓う。

 課題の打撃は、試合を重ねるごとに成長した。手応えを感じたのは8月22日・巨人戦。同点の延長十回2死二、三塁でケラーの高め154キロを捉えて決勝の左前適時打。「(これまで)速い真っすぐをはじき返すことができなかった中、直球の速い投手から打ったことが本当に自信になった。そこから真っすぐがあまり怖くなくなったと感じた」と回想する。

 守備でも菊池と鉄壁二遊間を組んで異次元の好守を連発。自身初のゴールデングラブ賞も受賞した。「これを何年も積み重ねることができれば本物の守備職人になれるのかなと思う。何年も続けられる選手になりたい」と向上心は尽きない。

 打撃と守備に加えて、今季は盗塁王を目指す構え。昨季はリーグ3位タイの13盗塁だった。盗塁数を増やすため、リードの大きさを鍵に挙げる。

 「けん制が速い投手の時にあまり出られなくなってしまう。そこで1足でも2足でも大きくできればセーフになる確率も上がると思うので」と試行錯誤を重ねる。新井監督も「彼はスタートを切る勇気も、洞察力、観察力もすごくある。狙えるかもしれないよ」と期待を寄せた。

 「ライバルもいっぱいいますし、負けたくないという思いで毎日必死に頑張りたい」と矢野。貪欲な姿勢を貫き、不動の遊撃手になっていく。

 ◆矢野 雅哉(やの・まさや)1998年12月16日生まれ、26歳。大阪府出身。171センチ、71キロ。右投げ左打ち。内野手。育英、亜大を経て20年度ドラフト6位で広島入団。プロ初出場は21年3月26日・中日戦。ブレークした今季は137試合で打率・260、2本塁打、38打点、13盗塁。遊撃手でゴールデングラブ賞。