2026年ワールドカップのサッカー日本代表メンバー予想 前編2026年北中米ワールドカップの出場がもうすぐ決まりそうなサッカー日本代表。その後の話題は、W杯本番のメンバーが誰になるかだろう。1年半後の顔ぶれを識者に予想してもらった。【最終予…

2026年ワールドカップのサッカー日本代表メンバー予想 前編

2026年北中米ワールドカップの出場がもうすぐ決まりそうなサッカー日本代表。その後の話題は、W杯本番のメンバーが誰になるかだろう。1年半後の顔ぶれを識者に予想してもらった。

【最終予選で練度を高める3-4-2-1を踏襲】

原山裕平(サッカーライター)



<2026年の日本代表予想>
FW/上田綺世(小川航基)
MF/南野拓実(鎌田大地)、久保建英
MF/三笘薫、遠藤航、守田英正、伊東純也(菅原由勢)
DF/町田浩樹(伊藤洋輝)、板倉滉(谷口彰悟)、冨安健洋
GK/鈴木彩艶

 最終予選の戦いを見る限り、もはやメンバーは固まっているように思える。パリ五輪に出場した選手たちの台頭を期待したが、現時点では既存の序列を覆せそうな選手は見当たらない。ケガで離脱中の冨安健洋らを加えれば、ワールドカップ本大会を戦うスカッドが完成する。

 システムは最終予選で練度を高める3-4-2-1を踏襲するだろう。"攻撃的"かどうかはさておき、センターバックのタレントが豊富な一方、サイドバック(とりわけ左)の人材が不足している以上は、この形が適しているように思う。対戦相手に応じてウイングバックのキャラクターを変更すれば、攻撃的にも、守備的にも振る舞うことができる。

 GKはカルチョの国で研鑽を積む鈴木彩艶が頭ひとつ抜け出した印象だ。まだ22歳の大器は、残り1年半の時間を過ごすなかでどこまで成長を遂げるのか。期待感が高まるばかりだ。

 3バックは全体的にやや故障がちなのが気がかりながら、誰が出ても変わらぬ安定感を担保できるだろう。コンディションさえ整えば、世界基準の能力を備える冨安健洋を中心に据えたい。

 ボランチの遠藤航、守田英正のふたりは鉄板だ。そのパフォーマンスによって、チームの浮沈が左右されるといっても過言ではない。パリ五輪で中心を担った藤田譲瑠チマやドイツで評価を高める佐野海舟の存在もあるが、彼らの牙城を崩すには及ばない。2026年もその立場は安泰だろう。

 両ウイングはあくまで"攻撃的"な戦いを想定。単騎で敵陣深くに進入できる三笘薫と伊東純也は、このチームの最大の武器だ。相手に応じてサイドバックタイプの菅原由勢を配置することもあるだろう。

 シャドーの位置では、ライン間で起点となり、ファイナルサードでも違いを生み出せる鎌田大地の存在も捨てがたいが、得点力に秀でる南野拓実と創造性溢れる久保建英のコンビが最もしっくりくる。他にもトップ下タイプでは堂安律や鈴木唯人、インサイドハーフタイプでは旗手怜央などタイプの異なるタレントがひしめいている。いろんな組み合わせが考えられるため、現状の序列が最も変わる可能性があるのは、このエリアかもしれない。

 最前線は上田綺世が現時点でのトップランナーだが、最終予選と所属クラブでもコンスタントに結果を出している小川航基の評価が高まっている印象だ。ただし、いずれも突き抜けた存在にはなりきれていない。欧州5大リーグで二桁得点を記録できるようなタレントが現れれば序列は覆るはずで、その意味では町野修斗にも可能性があるかもしれない。

【1年半で大きくメンバーは変わらないだろう】

篠 幸彦(スポーツライター)



<2026年の日本代表予想>
FW/上田綺世(古橋亨梧)
MF/鎌田大地、久保建英(南野拓実)
MF/三笘薫(中村敬斗)、守田英正、遠藤航、堂安律(平河悠)
DF/伊藤洋輝(町田浩樹)、冨安健洋、板倉滉
GK/鈴木彩艶

 現在の日本代表の好調ぶり、年齢のバランスを見るに、これからの1年半で大きくメンバーが変わるのは想像しづらい。基本は現在の主力を中心に、ほとんど変わらない布陣だろうと予想する。

 3バックの最終ラインは谷口彰悟が中央で統率してきたが、アーセナルの冨安健洋がケガから復帰して中心を担うだろう。また、左センターバックは現在、町田浩樹が務めるが、バイエルンで伊藤洋輝がこの1年半でスケールアップしていることを期待する。

 ボランチとウイングバックは現在の並びから変更はない。ボランチでは次の世代が台頭してきてほしいところだが、現時点で守田英正、遠藤航という鉄板のふたりを脅かす存在はいない。

 ウイングバックも、とくに左の三笘薫はブライトンでもスペシャルな存在で、彼の突破力はW杯本番でも拠りどころとなる最大の武器だろう。中村敬斗というオプションもさらに磨きをかけたい。右は堂安律を基本としながら順当に選ぶのであれば、伊東純也で間違いない。ただ、今後の日本代表としてはブリストル・シティでプレーする平河悠の台頭に期待したい。

 スピードや豊富な運動量を生かした突破力は伊東にも匹敵するポテンシャルがあり、守備能力においては凌ぐだろう。伊東の正統な後継者として2026年までにジョーカーの選択肢になるほどには成長してほしい。

 シャドーは鎌田大地、久保建英、南野拓実という3人が今後も有力だろう。ラ・リーガでの久保の存在感を見るに、代表でもW杯本番までに彼がより生きる形を見出したい。

 1トップは上田綺世が基本であることは変わらない。古橋亨梧というスピードが持ち味のカードもほしいところ。あまり代表には呼ばれず、使われることも少ないが、得点力は申し分なく、攻撃のカードとして古橋のような選手は置いておきたい。

 正直、変わり映えのしないメンバーとなってしまったので、この1年半で予想を裏切るような新しい戦力が出てきてほしいと願っている。

【攻撃偏重の両サイドはオプションか】

浅田真樹(スポーツライター)



<2026年の日本代表予想>
FW/上田綺世
MF/三笘薫(南野拓実)、鎌田大地(久保建英)
MF/伊藤洋輝(中村敬斗)、守田英正、遠藤航、伊東純也(堂安律)
DF/町田浩樹、板倉滉、冨安健洋(高井幸大)
GK/鈴木彩艶

 ワールドカップ出場決定はもう目前。最終予選での日本の"ひとり勝ち"は、予想以上に際立っている。日本がアジア予選で敗退する可能性は限りなくゼロに近いと思っていたが、ここまで勝ち点差が開くとは考えていなかった。

 とはいえ、その代償と言えば言葉は悪いが、アジア予選を戦うなかで新戦力の発掘はそれほど進まず、むしろ試合に出場するメンバーは固定化の傾向にある。

 新戦力の象徴的な存在になることが期待されたパリ五輪世代の登用にしても、そもそも選出される人数が少ないうえ、呼ばれたとしても、出場機会はまったくと言っていいほど与えられていないのが現状だ。

 万が一にもW杯への出場権を逃がすわけにはいかず、予選突破が決まるまでは従来の主力を中心に、という気持ちもわからないではないが、他のアジア諸国との力関係を考えると、森保一監督の選手起用には退屈な印象が否めない。

 最終予選後に行なわれるであろう親善試合も含め、これから先、選手起用の方針が劇的に変わるとは考えにくく、よほど主力にケガ人が続出したりでもしない限り、2026年W杯のメンバーはある程度見えてしまっているのかもしれない。

 しかしながら、単純に昨季と今季を比較するだけでも、遠藤航など所属クラブでの出場機会を減らしている選手もおり、1年半後の選手がどんな状態になっているかはわからない。

 次回W杯のみならず、次々回大会以降へ向けた継続的な強化という面でも、メンバーが固定され、若手の台頭が滞るのは得策ではない。冨安健洋がケガがちで思ったようにプレーできていない状況も鑑み、高井幸大がA代表でもポジションを奪うくらいになってくれるのが望ましいのだが......。

 2022年カタールW杯の成功体験もあり、今後の日本代表でも、3バックが主戦システムになっていくのだろう。その上で、ピッチ上の最適なバランスを探っていくことになるはずだ。

 具体的に言えば、両サイドに三笘薫、伊東純也を配するような現在の攻撃偏重の布陣を採用することは、W杯本大会に向けては(試合終盤のオプションとしてならともかく)難しく、少なくともどちらかのサイドにはDFを本職とする選手、例えば左なら伊藤洋輝、右なら菅原由勢といった選手を配置することになっていくのではないだろうか。

 あとはもう、森保監督が嫌でも呼ばざるを得ないほどに、ヨーロッパの所属クラブで誰の目にも明らかな活躍をする。そんな"まだ見ぬ選手"が出現してくることに期待するしかない。

後編「システム変更、新しい選手の台頭にも期待した予想布陣」へつづく>>