2026年ワールドカップのサッカー日本代表メンバー予想 後編サッカー日本代表の2026年ワールドカップ本番のメンバーを大予想。後編では現状からのシステム変更や新しい選手の台頭を期待した顔ぶれを期待した識者の見解を集めた。前編「3バックで予想…

2026年ワールドカップのサッカー日本代表メンバー予想 後編

サッカー日本代表の2026年ワールドカップ本番のメンバーを大予想。後編では現状からのシステム変更や新しい選手の台頭を期待した顔ぶれを期待した識者の見解を集めた。

前編「3バックで予想したフォーメーション」>>

【4バックをベースにした可変システム】

中山 淳(サッカージャーナリスト)



<2026年の日本代表予想>
FW/上田綺世(中村敬斗)、久保建英(堂安律)
MF/三笘薫(南野拓実)、守田英正(鎌田大地)、遠藤航、伊東純也
DF/伊藤洋輝、町田浩樹(高井幸大)、板倉滉、冨安健洋
GK/鈴木彩艶

 次のバーレーン戦(2025年3月20日予定)に勝てば、3試合を残して2026年W杯出場が決定する日本代表。もはや8大会連続の本大会出場は確定的となったわけだが、ここまで不動のメンバーで戦ってきたこともあり、小川航基以外に新戦力と呼べる選手の台頭はない。

 おそらく本大会出場決定後から新しい選手を試す機会は増えるだろうが、それでも現状の選手層を考えると、本番までにメンバーの入れ替えがあったとしても2~3人が限界か。そのなかで期待したいのは、潜在能力が高い高井幸大の成長だが、果たして......。

 それはともかく、現時点で本大会のスタメンを考える時、どうしてもポイントにしておきたいのは、カタールW杯後に協会が宿題にした「主体的なサッカー」を本番でいかにして実現するかということだ。

 そのためには、森保一監督が現在採用している3バックシステム(両ウイングバックにアタッカーを配置する3-4―2-1)の問題点、つまり自陣で守る時に5バックになってしまう問題を解決する必要がある。5バックで守ることが前提になるなら、両ウインウバックにアタッカーを配置する意味がなくなってしまうからだ。

 そこで、守備時は4バックで、マイボール時は3バックにシフトチェンジする可変システムで考えてみた。それを実現するために、右サイドバックに冨安健洋、左サイドバックに伊藤洋輝を配置。マイボール時には伊藤が左ウイングバック、伊東純也が右ウイングバックになることで、つるべ式の3バック(3-4-2-1)に移行できる。その逆パターンとして、3バックを伊藤、町田浩樹、板倉滉、右ウイングバックに冨安健洋、左ウイングバックに三笘薫という並びも可能だ。

 選手層の厚い中盤から前線は、その時に調子のいい選手を起用することを前提として、1トップと2シャドーを編成すればいい。

 とにかくポイントは、4バックで守ること。2023年9月のドイツ戦では、4バックで耐えきれずに3バックに変更して敵地で勝利を収めたが、それでは元の木阿弥。強豪相手でも4バックで守る術を身につけなければ、W杯でベスト8以上の成績は望めない。

 アジアカップでの4バック崩壊後、立て直しに取り組まないまま3バックにして問題を解決した日本だが、代表活動再開後は、4バックの再建にも着手してもらいたい。

【戦力は史上最強 指揮官は手腕が問われる】

小宮良之(スポーツライター)



<2026年の日本代表予想>
FW/三笘薫、上田綺世(山田新)、久保建英
MF/鎌田大地、守田英正
MF/遠藤航
DF/冨安健洋(伊藤洋輝)、町田浩樹(吉田麻也)、板倉滉、菅原由勢
GK/鈴木彩艶

 2026年ワールドカップ、アジア最終予選のチームをベースにした場合、3-4-2-1になる。ただ、世界列強との試合では守備が耐えきれまい。4-3-3に近い4-2-3-1に戻すのではないか。

 左サイドバック不在が深刻で、その解消策の3バックもあるだろうが、三笘薫をウイングバックで使うのは「宝の持ち腐れ」とは言わないまでも、適材適所ではない。アジア勢だったら攻めに専念できるが、世界を相手には守りで弱さを見せるはずで、その場合、せっかくの攻撃力も封じられてしまう。

 三笘、久保建英のふたりは、日本代表のなかでも傑出している。彼らをゴール近くでプレーさせる戦いが望ましい。それは世界と戦う基本条件だ。

 次に鎌田大地、守田英正のふたりは、戦術的な土台だろう。プレーメイクしながら、ライン間を奪うコンビネーションが有効だ。鎌田は1・5列目だとやや消えてしまうところがあり、プレーメイクに関わってもらい、守田が前線に飛び出す動きが打撃を与えられるだろう。

 三笘、久保、鎌田、守田の4人がうまく連係を取れたら、大きな攻撃力を生み出せる。それを支えるのが攻守をつなぐ遠藤航。この5人はどんな布陣でも外せない。

 そして森保ジャパンの強さは、タイプの違うバックアッパーもいることだろう。中村敬斗、堂安律、伊東純也、南野拓実、旗手怜央、田中碧、佐野海舟は実力者。攻め方に変化を与えられる。

 一方で、トップは上田綺世がファーストチョイスだろう。ただ、このポジションは今後1年半で見極めるべきだろう。ストライカーはフィーリングが大事で、旬の選手を重用するのが上策で、他のポジションと違う。(欧州経験がなく)未知数だが、山田新の伸び代に期待したい。

 バックラインでは板倉滉が不動だろう。ただ、パートナーは意見が分かれるのではないか。センターバックは町田浩樹、谷口彰悟、瀬古歩夢、高井幸大などだが、それぞれ一長一短がある。左利きの町田がリードも、パーソナリティでやや物足りなさも残る。

 そこで経験やリーダーシップを考えたら、吉田麻也という選択肢もありうる。吉田は MLSで主将として(カップ戦やプレーオフ含め)3600分以上も出場し、優勝に貢献。強固なディフェンスは健在で、主将として各国代表選手をまとめる統率力も示した。W杯ではターンオーバーが不可欠で、彼こそが適任。

 2026年は38歳になるが、EURO2024でスペインを優勝に導いたヘスス・ナバスも38歳で、ダニエル・カルバハルの出場停止などの穴を埋めた。吉田のような選手とプレーすることで、高井も化けるかもしれない。

 右サイドバックは久保とのコンビを重視すると、菅原由勢か。世界を相手の守備では不安は拭えず、2018年カタールW杯のベストプレーヤーだった酒井宏樹のような選手が欲しいが......。左は伊藤洋輝のコンディション次第だが、三笘との連係を考えると、冨安健洋の左サイドバックでの抜擢を推したい。彼もケガが多いのだが......。

 GKは MLSで活躍する高丘陽平を試してほしいが、森保一監督は鈴木彩艶とアジアカップで心中したほど、鈴木以外は考えていないだろう。鈴木は今もスーパーセーブと凡ミスが交互に見られるが、かつてない大器であることに異論はなく、W杯での開花に期待したい。

 フィールドプレーヤーがほぼ全員、欧州組になった時代、戦力は史上最強と言える。このチームをどうマネジメントするか。指揮官にはその手腕が問われる。

【本大会での勢いはメンバーを変えることで生まれる】

杉山茂樹(スポーツライター)



<2026年の日本代表予想>
FW/三笘薫、ジャーメイン良(塩貝健人)、久保建英(坂元達裕)
MF/藤田譲瑠チマ、田中碧
MF/佐野海舟
DF/冨安健洋、板倉滉(町田浩樹)、高井幸大(チェイス・アンリ)、毎熊晟矢
GK/鈴木彩艶

 W杯本大会でベスト8以上を狙おうとした時、不可欠になるのが勢いだ。アジア3次予選を戦う現在のチームは確かに強い。強そうに見える。史上最強に違いない、だがそれはあくまで過去との比較だ。過去7回を超える成績を収めようとした時、史上最強は当たり前すぎて売り文句にならない。

 問題は史上最強の度合いだ。1年半後、さらに強くなっている必要がある。つまりメンバーは変わっていなければならない。勢いはメンバーを変えることによって生まれる、との前提に立って考えてみた。

 一番の人材難はセンターフォワードだ。小川航基、上田綺世、古橋亨梧、大橋祐紀と揃っているが、いずれも帯に短し、襷に長しだ。ピンとこない。むしろ以下のふたりに食指は動く。

 まずは今季Jリーグで19ゴールを奪い、スケールアップした感のあるジャーメイン良。左利きで、ボールが持てる。頭も強い。面白い存在だと思う。もうひとりは小川と同じNECナイメヘンに所属する19歳の塩貝健人だ。現在チームでは小川のサブ的な立ち位置だが、近い将来、逆転しそうなムードを感じる。そうなってから選ぶのでは遅い。

 1年半後を想像し、気配を感じた段で呼ぶ。いま選んでもいいぐらいだ。ともかくストライカーはその時、旬な選手、野球的に言うなら当たっている選手を選ぶべき。選手としての格で上回る、いわゆる外せない選手が日本にはいないので、思いきった手は打ちやすいはずだ。

 だが、最大の改造ポイントは中盤にある。遠藤航、守田英正。現在のチームはこのふたりを中心に成立しているが、勢いをつけるならこの心臓部に敢えて新風を送り込むことだ。そのくらいの覚悟が必要だと考える。守田と競わせるべきは藤田譲瑠チマで、遠藤と競わせるべきは佐野海舟だ。後者の選出には否定的な見方もあるだろうが、筆者的にはゴーサインを出したい。

 両ウイングは三笘薫と久保建英。だが、フェイントのキレに関しては坂元達裕のほうが久保より上だ。ゴールへのルートが見えているMF的な視野もある。十分に使える選手だと踏む。

 全体の枠は26人なので、ウイングにも最低5人程度を割く余裕がある。問題は、森保一監督がウイングつきの布陣(4-3-3、4-2-3-1など)を採用するかだ。日本のストロングポイントを最大限活かそうとしないサッカーには、賛同できかねる。

 冨安健洋は故障が心配されるが、使うなら4バックのサイドバック、特に左で使いたい。サイドバックに世界的な選手がいるチームは強い。強さの象徴だとみる。5バックになりやすい3バック=後ろで守る非王道を行くサッカーには、一発は期待できても安定感は望めない。

 ウイング、そしてサイドバックの活躍なしに、ベスト8以上は望めないのである。