◆プロボクシング▽WBA世界スーパーフェザー級(58・9キロ以下)挑戦者決定戦10回戦 ○同級9位・堤駿斗(TKO8回1分55秒)同級14位レネ・アルバラード●(31日、大田区総合体育館) WBA世界スーパーフェザー級9位・堤駿斗(25)=…
◆プロボクシング▽WBA世界スーパーフェザー級(58・9キロ以下)挑戦者決定戦10回戦 ○同級9位・堤駿斗(TKO8回1分55秒)同級14位レネ・アルバラード●(31日、大田区総合体育館)
WBA世界スーパーフェザー級9位・堤駿斗(25)=志成=が、デビューからの連勝を「6」に伸ばし、世界挑戦に一歩前進した。元世界王者でWBA世界同級14位レネ・アルバラード(35)=ニカラグア=とWBA世界同級挑戦者決定戦を行い、スピードとパワーで圧倒。8回に連打でTKO勝ちした。試合が中止になった前WBA世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(35)=志成=はリングに上がり、現王者フェルナンド・マルティネス(33)=アルゼンチン=へのリベンジを誓った。
パワフルなニュースタイルで元世界王者を圧倒した堤は、喜びよりも、まずは感謝を口にした。「前回の失敗から8か月。このリングに上がれたことに感謝しています。スーパーフェザー級は初めてだが、自分自身、今日の試合は合格点をあげてもいいかな」と笑みが漏れた。初回からスピードとパワーで試合を支配。8回、アルバラードにパンチの雨を降らせると、レフェリーが試合をストップ。所属ジムの先輩・井岡の試合が中止となり、急きょ大みそか興行のメインイベンターに抜てきされた大役を見事に全うした。
昨年4月のプロ第5戦。前日計量でまさかの1・6キロオーバー。試合は行われ、堤は3回KO勝ちしたが、日本ボクシングコミッションから6か月のライセンス停止という厳罰が科せられた。「この8か月間、何度もやめようと思った」と振り返ったが、井岡らの励ましで翻意。フェザー級(57・1キロ以下)から1・8キロ重いスーパーフェザー級へ階級を上げ、減量の専門家に指導を仰ぎ復帰戦へと備えた。髪形もコーンロウに変えてリングに上がった。
結果、過去5戦とは明らかに動きが違った。「減量していても体調を崩さず調整できた。この階級で一つ一つ勝っていきたい」と言葉に自信が宿る。アマ13冠という金看板を背負いA級(8回戦以上)デビューしたが、減量苦に悩まされ本来の実力を発揮できずにいた。ようやく適正階級にたどりつき、本当の実力を証明した。
試合はWBA世界スーパーフェザー級挑戦者決定戦として行われ、念願の舞台に一歩前進した。計量失敗という地獄を経験し、生まれ変わった堤は「チャンスがあればいつでも挑戦する」と言い切る。そして、リングに上がり祝福してくれた井岡と「来年(2025年)、一緒にチャンピオンになりましょう」と、しっかり男の約束を交わした。(近藤 英一)
◆堤 駿斗(つつみ・はやと)1999年7月12日、千葉市生まれ。25歳。習志野高、東洋大卒。アマで計13冠。2022年7月にプロデビュー。23年5月、日本人最速3戦目で東洋太平洋フェザー級王座獲得(後に返上)。身長172センチの右ボクサーファイター。家族は両親と兄、弟。