<全国高校サッカー選手権:高川学園2-1青森山田>◇31日◇2回戦◇NACK高川学園(山口)が「トルメンタ」をさく裂させ、前回王者の青森山田に競り勝った。0-0の後半7分、右CKで今大会初の奇策を発動。選手たちが手をつないで回る“グルグル円…

<全国高校サッカー選手権:高川学園2-1青森山田>◇31日◇2回戦◇NACK

高川学園(山口)が「トルメンタ」をさく裂させ、前回王者の青森山田に競り勝った。0-0の後半7分、右CKで今大会初の奇策を発動。選手たちが手をつないで回る“グルグル円陣”で相手をかく乱し、最後はこぼれ球をFW大森風牙(2年)が押し込んで先制。21年度大会4強を呼んだ秘技がさく裂。1-0の同33分には再び大森がPKを決めて突き放した。1月2日の次戦は、静岡学園と8強入りをかけて激突する。

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高川学園が今大会も、あの奇策を発動した。後半7分の右CK。ニアで4選手が輪になって手をつなぎながら反時計回りに回転後、四方八方に散らばる。その輪の中にいたDF柿本陽佑(3年)は、ニアでフリーになって、短いパスを受けて左足でシュート。ボールは左ポストをたたくも、最後は大森が頭で押し込んだ。「今年のチームは上背がない分、工夫している。最後は自分の(得点への)嗅覚が出た」と2年生エースはしてやったりの笑顔だ。

3大会前も話題をさらった「トルメンタ(スペイン語で嵐)」。4強に大躍進も当時は準決勝で青森山田にセットプレーのチャンスをもらえず0-6大敗。江本孝監督(40)は「当時からセットプレーの内容やタイミングなどは選手たちに任せている」とし「先輩たちの分も、今日もどこかで(トルメンタを)して欲しいといっていた。まさか、点が入るとは」と驚いた。

最終盤に1点を返されたが、トリッキーなプレー以外も、球際、こぼれ球の反応で青森山田を上回った。屈辱の0-6から「走れないと勝てないことを思い知った」と江本監督。週1回、早朝に行うランニングメニューに加え、日々の練習でプレー強度を高めた。「OBを含めて本当によく頑張った」とうなずいた。

次戦は静岡学園と対戦する。江本監督は「自分が選手時代に静学と対戦している。苦手とは思わない。さらにチャレンジャー精神を持って臨みたい」。トルメンタ、アゲイン。3大会前を上回る大きな嵐を巻き起こす。【小林忠】