◆バドミントン 全日本総合選手権 最終日(30日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ 各種目の決勝が行われ、女子シングルスは18歳の宮崎友花(山口・柳井商工高3年)が初優勝した。仁平菜月(26)=ヨネックス=を2―0で退け、平成以降の高校生…
◆バドミントン 全日本総合選手権 最終日(30日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ
各種目の決勝が行われ、女子シングルスは18歳の宮崎友花(山口・柳井商工高3年)が初優勝した。仁平菜月(26)=ヨネックス=を2―0で退け、平成以降の高校生日本一は11年の奥原希望(29)、14年の山口茜(27)らに続く4人目の快挙。世界一への登竜門となる栄冠に輝いた新星は、28年ロサンゼルス五輪へ「金メダル」を目標に掲げた。女子ダブルスはパリ五輪銅の志田千陽(27)、松山奈未(26)組=再春館製薬所=が初優勝。
強打をたたき込み、羽根がコートに落ちた瞬間、宮崎は左拳を握ってほえた。夢に見た日本一の称号をつかみ、カメラに向かって高校名が入った背中をアピールした。元世界ランク1位・奥原、山口と肩を並べる高校生女王。「小さい頃から憧れていた選手と同じ。すごくうれしい」。初々しさの残る18歳が、新エースに名乗りを上げた。
決勝は空調による風上に立った第1ゲーム(G)は飛びすぎを恐れず、積極的な強打。風下の第2Gはしぶとく攻めた。「挑戦、緊張、いろいろな気持ちで不安もあった中、最後まで諦めずに攻め切れた」。ラケットを持つ右手首の使い方が武器。羽根を打つ際、瞬時に動きを変えられるため、相手は羽根の軌道を読みにくい。引きつけてクロスに角度をつけたショット、上から振り下ろすスマッシュでラリーも制する。3度目の出場で、才能が一気に花開いた。
幼少時は卓球に親しみ、運動神経の良さや足の速さからテニスも試した。だが、パワーが不足し、母の勧めで「(卓球とテニスの)間をとってバドミントン」を選んだ。中学1年で大阪から山口に移り住み、強豪の柳井商工の門をたたき、22年には世界ジュニアを制した。「中学、高校で竹光(唯至)先生に教わり、今日も先生がベンチにいてくれたから勇気を持てた」。普段は10月に入団会見したACT SAIKYOのユニホームを着ることが多いが、今大会は同校の上下赤を貫き、結果で恩を返した。
奥原、山口は日本一になった後、世界選手権制覇や五輪出場を果たした。宮崎は9月の中国オープンで山口を破るなど準優勝、現在世界ランクは山口に次ぐ日本勢2番手12位と成長著しい。ロス五輪期待の星は「五輪で金メダルを取るのが夢」と誓った。来年は1月7日開幕のマレーシア・オープンから始動する。短い冬休みは「ディズニーに行く」とにっこり。あどけない笑顔も魅力の18歳が、世界に羽ばたく。(宮下 京香)
◆宮崎に聞く
―仁平にストレート勝ちで初優勝。
「海外でもやってきてお互い分かりきっている。緊張もあった。ラリーも長くてきつかった。その中で我慢強く戦えたのが良かった」
―飛躍の1年を振り返って。
「中国オープンで準優勝し、(世界)ランキングも上がった。(ワールド)ツアーファイナル(出場)には(ランキングで)届かなかったが、そこに向けて頑張れたことで、プレーの幅は広がったと思う」
―バックのサーブの感触は。
「挑戦して良かった。これからも続けると思う」
―来年は1月のマレーシア・オープンから出場予定。
「年末は少しゆっくりしたら、また練習が始まるので、気を緩め過ぎず、いい気持ちで24年を終わりたい」
◆28年ロス五輪の女子シングルス代表候補 五輪3大会連続の8強、21年、22年世界選手権連覇の山口は、世界ランクも日本勢1番手の3位。31歳で迎えるロス五輪でも出場の期待がかかる。同7位の大堀彩さんが引退し、日本勢2番手は、同12位の宮崎。18歳と成長力にも期待でき、守備力を強化して山口の背中を追う。17年世界選手権覇者の奥原は、日本勢3番手のランク20位。近年は下半身などの負傷が続き、今夏のパリ五輪出場を逃した。
◆宮崎 友花(みやざき・ともか)
▼生まれ&サイズ 2006年8月17日、大阪市生まれ。18歳。164センチ。
▼競技歴 6歳の時、母の影響で始める。中学1年で山口・柳井市に引っ越し、柳井中3年時に全国大会優勝。柳井商工高1年時の22年に世界ジュニア選手権で奥原、山口、郡司莉子に次ぐ日本勢4人目の優勝。今夏の全国高校総体のシングルスで2連覇。今年3月のオルレアン・マスターズで初優勝。同9月の格付けの高い中国オープンで準優勝。
▼高校3年生 好きな教科は美術で、苦手は数学。今大会は「高校最後」と全日程で柳井商工の赤のユニホームを着用。「気合が入った」
▼こだわり シューズの紐は左右で変えている。右はお気に入りの緑で、左はピンク。「社会人の先輩はかわいいピンやネックレスを着けているけど、学生はできない。足だけでもいい感じにしたくて」