27日から大阪府東大阪市花園ラグビー場で始まった第104回全国高校ラグビー大会。府代表の大阪桐蔭(大阪第1)、東海大大阪仰星(大阪第2)、常翔学園(大阪第3)はいずれもシードで、30日の2回戦から登場する。各チームを紹介する。 …
27日から大阪府東大阪市花園ラグビー場で始まった第104回全国高校ラグビー大会。府代表の大阪桐蔭(大阪第1)、東海大大阪仰星(大阪第2)、常翔学園(大阪第3)はいずれもシードで、30日の2回戦から登場する。各チームを紹介する。
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府予選の決勝で前回の全国大会に初出場した関大北陽を40―0で下した大阪桐蔭は、4年連続18回目の出場。今春の選抜大会で優勝しており、Aシードで臨む今大会は、有力なチームの一つだ。優勝すれば98回大会以来となる。
ただ、綾部正史監督は「選抜は、自分たちが年度の始めにどの位置にいるかを測る大会。頂点を取れたのは良かったが、我々はあくまでもチャレンジャー」と強調する。
前回大会は、優勝した桐蔭学園(神奈川)に準決勝で敗れた。スコアは0―25。現主将の名取凛之輔選手は2年生で出場していて、「ただ単に時間が過ぎてしまった、そんな感覚だった」と振り返る。今回はあのときの「リベンジを果たす」と誓う。チームは守備力を鍛え、攻撃力も磨いてきたという自負がある。
高校日本代表候補になっている選手が何人もいる。普段は子どもっぽかったり、ひょうきんで笑わせたりと個性豊か。「とにかく仲がいい」と名取主将は言う。だが、いざラグビーとなると目の色が変わる頼もしい仲間たちだ。
10月、専用ラグビー場が人工芝になった。それまでは雨が降ったら泥だらけになっていた。練習にいっそう力が入る環境を手に入れ、30日の初戦の相手は長崎北陽台。チームの愛称の「白い旋風」を今大会も花園に吹かせる。(編集委員・中島隆)
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府予選の決勝、大産大付を相手に34―13で逆転勝ちした東海大大阪仰星は6年連続24回目の出場となった。
湯浅大智監督はチームの特徴を「体が大きく、ダイナミックなプレースタイル」と表現した。一方で「ただ、繊細さに欠けている」とも。
中学までは大ざっぱでも通用したかもしれない。だが高校生になり、全国で勝ち上がっていくには、細やかさ、丁寧さ、そして思考力が必要だと説く。「そのことに選手たちは気づいてくれた。あとは全国大会でしか体験できないことを体験していけば、このチームは伸びる」と自信を見せる。
主将にあたる「チームリーダー」を2人体制にしている。青野寛大選手と吉田琉生選手だ。
青野選手は「中学の時にキャプテンなどを務めていたメンバーが多く、それぞれに意見を持っている。2人の間で、そしてみんなと意見を言い合うことで高みに登ろうとしてきた」と話す。
101回大会で優勝。その後の2大会はいずれも準々決勝で敗れた。今大会は30日の2回戦から登場し、1回戦を突破した佐賀工と戦う。吉田選手は「優勝は、応援してくださっている方々への恩返しになると思って目指している」と、3大会ぶりのベスト8突破、そしてその先を見据える。頂点に立てば、通算で7回目となる。(編集委員・中島隆)
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新生「常勝軍団」が復活ののろしを上げる。常翔学園は2年ぶり、実に42度目の出場だ。
過去5度の全国制覇と、全国的に名を知られる存在。だが前々回の大会では初戦の2回戦で尾道(広島)に30―31で惜敗、前回は府予選決勝で東海大大阪仰星に敗れ、全国大会出場を逃した。
そんなとき、チームの指揮を新たに託されたのが、OBでコーチだった白木繁之監督(36)。恩師の野上友一GM(66)と、女性で監督を務めた平池三記部長(55)の支えも受け、チームを率いる。
白木監督はCTBだった脚力も生かし、実戦練習でのスクラムなどのときに動きを間近で観察し、選手にそっと声をかける。コーチから監督に立場が変わったことで「練習の相手をしたり、スタンドで応援したりするメンバーの意識がチームを左右する」と、控えの選手のことがより目に留まるようになったという。
チームはFW陣に体重100キロ前後の選手がそろい、NO8の井本章介主将(3年)は「セットプレーでは負けない」と自信をのぞかせる。
白木監督は前身の大阪工大高での現役時代、花園4強メンバーに名を連ねた。「今でも思い出すと鳥肌が立つ」のは3年時の準々決勝。三が日で満員の花園で、ボールを持って相手をかわして抜け出したとき、そしてそのプレーに大歓声を浴びたときのことだ。
初戦の30日の相手は高知中央。前々回大会に出場し、「必死で攻めて、勝ったと思ったら1点差で負けていた」という井本主将は「伝統でもある、前に出る強さを見せたい」と燃える。(黒田陸離)