◆第103回全国高校サッカー選手権▽1回戦 西目1―6日章学園(29日・フクダ電子アリーナ) 15試合が行われ、J1神戸などJ6クラブ争奪戦の末に英サウサンプトンに内定した超高校級FW高岡伶颯(れんと、3年)=日章学園(宮崎)=が、3得点2…

◆第103回全国高校サッカー選手権▽1回戦 西目1―6日章学園(29日・フクダ電子アリーナ)

 15試合が行われ、J1神戸などJ6クラブ争奪戦の末に英サウサンプトンに内定した超高校級FW高岡伶颯(れんと、3年)=日章学園(宮崎)=が、3得点2アシストと1回戦から大暴れ。歴代最多「20得点」を目標に掲げる大会NO1ストライカーが、チームを6―1の大勝に導いた。愛工大名電(愛知)は6―3で明誠(島根)に快勝。DF蒲地陽汰(3年)のオウンゴールを、双子の弟・壮汰(3年)がゴールで取り返した。2回戦は31日に行われる。

 「本物」であることを初戦で証明した。2得点で“リーチ”をかけた高岡は、前半アディショナルタイムの左FKに頭から飛び込んだ。身長166センチながら跳躍力には絶対の自信を持つ。頭でとらえたボールがネットを揺らしたのを確認すると、表情が緩んだ。「3点目が一番いい得点だったかなと思います」。3戦6発だった宮崎大会を含め驚異の4戦9発。過去2大会は不発だった選手権の舞台で、ついに本領を発揮した。

 独壇場だった。3得点は順番に右足、左足、頭。2アシストはスピードや突破力、パス能力の高さが際立つものだった。原啓太監督(43)は「得点能力に関しては彼は日本一ですから。もっと取れたと思っています」と振り返った。

 アンダー世代の日本代表として、U―17アジア杯で優勝に貢献。U―17W杯では4得点を決め、選手権を間近に控える12月中旬もチームを離脱し、U―19代表の活動に参加していた。卒業後は海を渡り、イングランドでの挑戦が待っている。

 すでに世界と戦い、これからも世界と戦うことが確約されている。そんな選手が、なぜ選手権での日本一にこだわるのか。

 「この大会はいろいろな人が家で見ている。子供たちに夢を与える大会でもある。自分も夢を与えられてきたから、今こうやって選手権に出ているんです」

 大会の格は、世界大会に比べれば劣る。それでも「自分が評価されるのはチームあってこそ」と語るように、仲間と日本一を目指し、その姿を世間に示すことが、高岡をゴールへと突き動かす原動力となっている。

 過去の最多得点記録は、08年度の大迫勇也(鹿児島城西)の10得点。20ゴールを目指すことを高らかに宣言する高岡は「大迫選手が10点。その倍の選手であることを証明したいなって」と胸を張る。「もっと注目してほしいし、もっとプレッシャーをかけてほしい」。宮崎が生んだ点取り屋は、まだまだゴールに飢えている。(岡島 智哉)

 ◆大会得点記録 1大会では、08年度大会で元日本代表FW大迫勇也(鹿児島城西)がマークした10ゴールが最多。2位は99年度大会の石黒智久(富山第一)、03年度大会の平山相太(国見)の9得点。通算では平山の17ゴール(1年時1点、2年時7点、3年時9点)が歴代最多。

 ◆高岡 伶颯(たかおか・れんと)2007年3月12日、宮崎・三股町生まれ。17歳。三股中から日章学園に進学。1年時に全国高校サッカー選手権デビュー。23年3月にU―17日本代表初選出され、同年U―17W杯で4得点。イングランド・サウサンプトン加入内定。166センチ、63キロ。右利き。