中邑真輔(44)が米プロレス団体「WWE」のUS王者としてベルトを巻いて凱旋(がいせん)する。来年1月1日に日本武道館で開催されるプロレスリング・ノア「ABEMA presents NOAH“THE NEW YEAR&rdquo…

中邑真輔(44)が米プロレス団体「WWE」のUS王者としてベルトを巻いて凱旋(がいせん)する。来年1月1日に日本武道館で開催されるプロレスリング・ノア「ABEMA presents NOAH“THE NEW YEAR”2025」(ABEMA PPVで全試合生中継)に参戦。目玉カードの1つで、Wメインイベント第1試合が「中邑真輔VS佐々木憂流迦」だ。日刊スポーツに思いを語った。(聞き手=千葉修宏)

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-WWEスーパースター中邑真輔選手の相手として「なぜ佐々木憂流迦選手なのか」という声もあります。勝負論はあるのか? と。そのあたりはどうお考えでしょうか

「佐々木憂流迦はふさわしくないわけですか? 僕としては、憂流迦じゃなくてもいいわけですよ。日本に帰ってこられる。日本で試合ができる。日本武道館で試合ができる。じゃあそこで、なんで佐々木憂流迦なんだろうかと。『何で俺じゃなきゃダメなの』っていうのは、憂流迦が言うことであって、俺は知ったこっちゃねえと思いますけれど(笑い)」

-憂流迦選手とのつながりは

「憂流迦は自分の後輩でもあるんですよね。まだあいつが10代の頃、プロレスに誘ったこともあります。あいつがUFCで、ニューヨークで一人、戦っているときに、会いに行ったこともあります。応援という形で。で、グレート・ムタとの試合の時に控室にひょっこり現れて。あいつはアメリカから引き上げて、RIZINで戦っていることも知っていた。でもこのタイミングでこんなところにいるっていうことは、ああ、こっちの世界に興味あるんだろうなと思って。だからいつやるの? っていうような話をしたことまでは覚えています。それから俺の知らないところで、ノアでプロレスラーになって。おーっていうところはあるので。だから何にもないところに煙が立ったわけじゃねえなとは思ってますね」

-中邑選手のこれまでのインタビューでは、憂流迦選手に厳しいコメントも投げかけています

「そうですね、まあ別にね(プロレスに)来たらいいじゃんとは言ったんですけど、責任までは取らないですからね。ただ自分の好みとして『そんなんで良かったんだ』っていうぐらいの感覚ですよね。見たところ、これといったライバルもいないし。憂流迦の扱いに対して異を唱えるやつもいない。なんかチヤホヤされてんなと思って。そういう意味で、じゃあお前それならそれで、なんかフワフワやってればいいじゃんと思ったんですけどね」

-それでは、そういう甘い環境にいると思われる憂流迦選手に「まだまだだ」というところを見せつける試合になると

「(自分は)そんなに優しくない(笑い)。いや、そんなに優しくないですよ。だって俺、日本に帰って来たかっただけ。いや、本当に対戦相手は誰でも良かったですよ。『なんで憂流迦なの』っていうところは、あいつが主張しなきゃいけないもん」

-その憂流迦選手がプロレスに踏み出すきっかけとなったのは、23年1月の「グレート・ムタVS中邑真輔」だったそうです。「中邑VS憂流迦」は、あの試合と同じような壮大な作品になるのでしょうか

「(ムタ戦は)見ている人がそう思うんならそうでしょうね。こと憂流迦に関してはキャリアもないし。あいつにあるキャリアって憂流迦自身の人生だから、自分とリングに立った時に何が出るかっていうのはやってみないとマジ分かんないと思うんですよ。どんなものになるかは。こうやりたい、ああやりたいっていったって、そうなるとは限らないし、ならないし。あいつが思い描いている僕との試合も、あいつが思っているようには絶対にならないですね」

-中邑選手はWWEで「ウェイワード・サムライ」という新たなスタイルに変身されました。あのスタイルが生まれたきっかけというのは

「そうですね、徐々に、徐々に自分の中で日本的な部分を出すことは、グレート・ムタ戦より、何かふに落ちるような感じがしてたんですよ。海外で戦う一日本人として、分かりやすいからとか、ウケがいいからとか、そういう端的な理由ではなくて。自分の本来の好みだったり、それまでは全く意地としてやってこなかったものを、日本武道館、グレート・ムタ戦から、それをすることがふに落ちるようになってきたんですね。それがだんだん自分の中に蓄積したというのもあったし」

-これまでよりも怖いというか、恐ろしさが表現されている感じがします

「この復活した経緯としては、やっぱり自分の不満だったり、怒りだったり、ここに来て、その表現の仕方も理解できるようになってきたというか。昔よく言われたんですけど『お前、怒りを見せろ』って。だからそういう意味で、ここに来てもまだ俺、ちょっと成長できるんだと。そういう意味で今は自分で自分の中の変化を楽しんでいるんですね」(後編へ続く)

◆中邑真輔(なかむら・しんすけ)1980年(昭55)2月24日生まれ、京都・京丹後市出身。青学大から02年に新日本プロレス入り。同年8月に安田忠夫戦でデビュー。03年12月に天山広吉を下し、史上最年少23歳9カ月でIWGPヘビー級王座を獲得して計3度戴冠。IWGPインターコンチネンタル王座も5度戴冠。11年にG1制覇。16年2月にWWEに移籍し、17年4月にスマックダウン昇格。18年1月、ロイヤルランブル制覇。WWEではインターコンチネンタル王座を2度、US王座を3度戴冠(現王者)。得意技はキンシャサ。188センチ、103キロ。