ソフトバンクから国内FA権を行使してロッテに移籍した石川柊太投手(33)が28日、日刊スポーツの独占インタビューで苦悩の1年間を赤裸々に語った。今季は夏場に人知れず“闘病期間”があったことを激白。悪夢の日々はマインド…

ソフトバンクから国内FA権を行使してロッテに移籍した石川柊太投手(33)が28日、日刊スポーツの独占インタビューで苦悩の1年間を赤裸々に語った。今季は夏場に人知れず“闘病期間”があったことを激白。悪夢の日々はマインドセットを変えて見事復活し、シーズン後半は5連勝フィニッシュでリーグ優勝に貢献した。11年間を過ごした福岡を離れる前に球団やファンへ感謝のメッセージも寄せた。【取材・構成=只松憲】

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一流の証し、FA権。石川は今年の6月12日に資格取得条件を満たした。しかし去就を考えることもできない。石川の体に異変が起こったのはその時期だった。

先発と中継ぎの両輪も、結果が出ない。6月6日の中日戦は中継ぎで黒星、同16日の阪神戦は先発で満塁被弾した。「その時期に(首筋の)リンパ節が腫れた。ストレス。実力が発揮できない自分にイライラもした。それが始まりだったと思う」。阪神戦後に2軍降格。2軍で仕切り直しのはずが、悪夢はここからだった。

降格後初登板は雨天中止。代わりのブルペン投球後に39度の高熱が出た。「その日から完全におかしくなった。体調が悪く、食欲もなく、寝汗もすごかった」。梅雨と日程の関係で投げられないストレス。再調整後の初登板は約1カ月後の7月4日、由宇での広島戦だったが結果は無残にも4回途中10安打6失点。「アップからおかしかった。マウンドでもずっと息が上がる感じ。膝に手をつくほどしんどかった」。トレーナーに症状を打ち明け、病院に直行した。血液検査の結果は「異常あり」。再検査を求められ、数値が安定するまでは気が気でない日々を過ごした。原因は不明も石川は「ストレスによる自律神経の乱れ」と分析する。

わらにもすがる思いで、心理学の本を読みあさった。天気など自分の意思では変えられない事象に対する考え方を改善。この1点だけで日々のストレスは激減した。同時に「自分から体調が悪くなるような考え方をしていた。周りから『先発も中継ぎも大変だよね』って同情されたい自分がいた」と気づいた。無意識のうちに弱い自分を作り出し「まさに病は気からだった」という。

マインドセットを変え体調は信じられないほど劇的に回復した。体重は4キロ減も見違えるように結果が出た。8月8日に1軍復帰してからは5連勝フィニッシュ。血液検査も正常に戻った。「打たれた日でも慰めてほしいなんて思わなくなった。次、次の繰り返し。あの期間があったからこそ成長できたと思う」。

今オフ、ソフトバンクからロッテに移籍。心身ともに新たな石川柊太に生まれ変わった。福岡への感謝は尽きない。「ホークスでの11年間があって今の自分がいる。ホークスやファンの方には感謝しています。福岡に育ててもらった恩を忘れずに次のステージに進んでいきたい」。人知れず“闘病生活”を送った苦悩の1年。ホークスで強くなり、石川は新たな戦いの舞台へ羽ばたいた。