◆第103回全国高校サッカー選手権▽1回戦 帝京2―1京都橘(28日・国立競技場) 開会式と開幕戦1試合が行われ、15大会ぶり35度目出場の帝京(東京B)が京都橘(京都)に2―1で競り勝ち、2回戦へと駒を進めた。前半5分にDFラビーニ未蘭(…
◆第103回全国高校サッカー選手権▽1回戦 帝京2―1京都橘(28日・国立競技場)
開会式と開幕戦1試合が行われ、15大会ぶり35度目出場の帝京(東京B)が京都橘(京都)に2―1で競り勝ち、2回戦へと駒を進めた。前半5分にDFラビーニ未蘭(みらん、3年)の今大会第1号となるヘッドで先制。後半に一時追いつかれるも、後半35分にFW宮本周征(2年)の右足で勝ち越した。多くのOBが見守る中、戦後最多タイ6度の優勝を誇る名門が“帝京魂”を見せつけ、選手権では07年度大会以来17大会ぶり、国立では98年度大会以来26大会ぶりの大きな白星をつかんだ。
カナリア軍団が聖地・国立競技場に帰ってきた。京都橘の猛追を振り切ると、帝京イレブンは両手を突き上げて抱き合い、ピッチで雄たけび。17大会ぶりの選手権勝利を執念でもぎ取った。国立勝利も98年度大会以来26大会ぶりで、当時主将を務めた藤倉寛監督(44)は、試合前に選手にこう告げた。「選手権で国立だから、ドラマチックになっちゃうよ」。その言葉通りに開幕戦を制し「こんなところで何度も優勝しているのは果てしないなと、すごく体感した」と名門を率いる重責の中、ホッとした表情を浮かべた。
戦後最多タイの6回の優勝を誇る帝京の底力を見せつけたのは、後半33分に同点にされた2分後。決して下を向かず、攻めた。速攻からFW宮本が右足で相手ゴールに流し込んだ。中盤でボールを奪い、決勝点の起点になった主将のMF砂押は「帝京の伝統を引き継がなければと思っている。それが(プレーに)表れてくれた」と持てる力を出し尽くした。接戦に主将は「全員で笑え」とピッチで声をかけ、前向きさを失わなかった。宮本も「いざ黄色のユニホームを着たら、帝京魂が出る」と言葉に力を込めた。
15大会ぶりの晴れ舞台には1万8052人が駆けつけた。国立ではOBの「とんねるず」の木梨憲武、実業家のROLANDらも声援を送った。木梨は開幕前、サッカー部へ「帝京魂」と記した色紙を贈って鼓舞。夏冬の全国制覇回数を示すユニホーム左胸の星は現在9個で、今大会で頂点に立てば自ら10個目の星を手縫いすることも“約束”。東京勢の選手権Vは91年度の帝京以来、遠ざかる悲願だ。
砂押は「帝京の伝統や歴史を感じる1日だった」と激闘を振り返った。藤倉監督も「勝利は義務ではなく欲求」と表現。ここぞの場面で見せた伝統の勝負強さ。強豪が復活ののろしを上げた。(浅岡 諒祐)
◆1991年度第70回大会決勝・帝京2―2四日市中央工 6度目の優勝を狙う帝京と、小倉隆史、中西永輔、中田一三の“三羽ガラス”を擁した四中工が対戦。帝京がエースFW松波正信の2得点で2―1とリード。だが、試合終了間際に小倉がダイビングヘッドをたたき込み、同点に追いつくことに成功。延長で決着がつかず、両校優勝となった。東京勢ではこれが最後の優勝となっている。