◆全国高校ラグビー第2日▽1回戦 倉敷29―12九州学院(28日・花園) 1回戦10試合が行われ、倉敷(岡山)が九州学院(熊本)を29―12で破って2大会ぶりの白星を挙げた。全国屈指の進学校、灘中(兵庫)出身で京大志望のWTB宮崎凜(3年)…

◆全国高校ラグビー第2日▽1回戦 倉敷29―12九州学院(28日・花園)

 1回戦10試合が行われ、倉敷(岡山)が九州学院(熊本)を29―12で破って2大会ぶりの白星を挙げた。全国屈指の進学校、灘中(兵庫)出身で京大志望のWTB宮崎凜(3年)が決勝トライ含む2トライと勝負所で躍動。次は同校最高成績となる3回戦進出を目指す。長崎北陽台、近大和歌山、光泉カトリック(滋賀)などが勝ち上がった。30日の2回戦からは前回覇者の桐蔭学園(神奈川)などシード13校も登場する。

 倉敷の秀才トライゲッターが、敵陣を切り裂いた。8―12の後半6分。174センチ、76キロのWTB宮崎は「みんながつないでくれたボール。絶対にトライする気持ちだった」と、花園での自身初トライで逆転。同22分にもインゴールへと駆け抜けて、突き放した。

 殊勲の3年生は徹底して文武両道を貫く。灘中出身だが、中高一貫で全国屈指の進学校、灘高には進まず、5歳で始めたラグビーにも打ち込むため倉敷を選んだ。すべては「夢のまた夢だった」という花園でプレーするため。当初は不安もあったが、倉敷・梅本勝監督(61)から熱心に誘われ、「断る理由がなくなっていった」と夢を追うと決めた。

 特進コースで学ぶ宮崎は京大の理学部志望。「灘高に上がった人たちに勉強に関しては先へいかれている。必死にくらいついている」と毎日早朝3時に起床して机に向かってきた。5時からの朝練習も怠らない。放課後の練習を終えると、午後9時には就寝した。大学受験も間近に控え、今大会中も宿舎に勉強道具を持ち込み「自分に対して胸を張れる一日を過ごしている」と試合前日もコンディションを整えつつ、4時間の勉強時間を確保した。

 自身が甲殻類や魚卵などのアレルギーを抱えており、「(アレルギーを)治す薬を作りたい」と将来の夢も抱きながら、今はラグビーに全力を注ぐ。花園で勝利をつかみ、「学校(灘)からは(中高一貫の高校に進まず)本当にいいのかと聞かれたが、ここに来て良かった。負けたら終わり。自分たちのラグビーを出し切って勝っていく」と大粒の汗を拭った。同校初の3回戦進出を見据え、3年間の集大成を見せる。(森口 登生)

 ◆灘中・灘高 所在地は神戸市。1927年創立、中高完全一貫の教育システムをとる私立校。同校ホームページによると、令和6年度の東大合格者数は94人、京大が53人。主なOBは江崎勝久(江崎グリコ株式会社代表取締役会長)、野村明大(読売テレビアナウンサー)