◆全国高校ラグビー第2日 ▽1回戦 近大和歌山29ー7坂出第一(28日・花園) 1回戦10試合が行われ、近大和歌山が坂出第一(香川)を29―7で下し、6度目の花園出場で初勝利を挙げた。元近鉄(現リーグワン2部・花園)FBの伊藤真一さん(43…
◆全国高校ラグビー第2日 ▽1回戦 近大和歌山29ー7坂出第一(28日・花園)
1回戦10試合が行われ、近大和歌山が坂出第一(香川)を29―7で下し、6度目の花園出場で初勝利を挙げた。元近鉄(現リーグワン2部・花園)FBの伊藤真一さん(43)を父に持つWTB吏雄(りお)が2トライ。中学時代はバレーボール部に所属した1年生が記念の一勝をもたらした。
聖地での白星を知らないチームの攻撃に、1年生が火を付けた。両軍無得点の前半9分、ラストパスを受けた近大和歌山・伊藤吏はインゴール左隅へダッシュ。「この一勝に向けて1年間練習してきた。思い切りやるしかない」。決死の覚悟で身を投げ出し、先制トライを決めた。同17分にも連続トライ。「3年生の引退が懸かるなか、勝利に貢献できた」と、チームの花園初勝利に頬を緩ませた。
近鉄でプレーした父・真一さんに影響されて小学1年でラグビーを始めたが、中学ではいったん離れ、バレーボール部に所属した。3年時に元チームメートの試合を観戦。「みんな楽しそうにやっていて、もう一度やりたいな」と心動かされ、再開を決意した。元々、学業で近大和歌山への入学を目指しており、「勉強も頑張りながら花園に出たい」と、一般入試の末にラグビー部の門をたたいた。
3年生部員が3名しかいない事情もあり、すぐに主力として出場。「お父さんの友達には『ステップの切り方が似ている』と言われる」と、父譲りのプレースタイルでチームの起爆剤となった。11月の和歌山予選決勝もこの日と同様に先制トライを決め、チームの花園行きを猛プッシュ。天理大ラグビー部時代に真一さんの後輩だった田中大仁監督(41)は「1年生だけれども、大舞台で物おじしないのが彼の持ち味」と称賛した。
初勝利の興奮覚めやらぬなか、伊藤吏は「2回戦でもあれくらいの活躍ができれば」と、30日の倉敷戦へ決意。聖地の旅路を、1勝で終わらせるつもりはない。(南部 俊太)
◆伊藤 吏雄(いとう・りお)2008年11月11日、大阪・池田市生まれ。16歳。和気小1年時に堺ラグビースクールで競技を始める。郷荘中3年の最後に同スクールでラグビー復帰。近大和歌山には自宅から片道1時間30分かけて通学する。170センチ、63キロ。50メートル走6秒8。ポジションはWTB。
◆近大和歌山 1983年創立の私立共学校。ラグビー部は88年創部で、14年度に初めて花園に出場した。現部員は29人。サッカー部も今年度で10回目の全国選手権出場となる強豪。主なOBは元豊田自動織機SH梅田紘一(現7人制ラグビー日本代表コーチ)、元Jリーガー・松尾直人(神戸、新潟など)ら。和歌山市善明寺。