「全国高校サッカー選手権・1回戦、帝京2-1京都橘」(28日、国立競技場) 開幕し、開会式後に行われた1回戦で、6回の優勝を誇る15大会ぶり出場の帝京(東京B)が京都橘に2-1で競り勝ち、17大会ぶりの白星で2回戦に進んだ。前半にDFラビ…
「全国高校サッカー選手権・1回戦、帝京2-1京都橘」(28日、国立競技場)
開幕し、開会式後に行われた1回戦で、6回の優勝を誇る15大会ぶり出場の帝京(東京B)が京都橘に2-1で競り勝ち、17大会ぶりの白星で2回戦に進んだ。前半にDFラビーニ未蘭(3年)がCKに頭で合わせて先制。後半に一時は追い付かれたが、MF宮本周征(2年)の得点で勝ち越した。決勝は1月13日に国立競技場で実施される。
聖地で“帝京魂”がよみがえった。15大会ぶりの舞台で17大会ぶりとなる勝利。藤倉寛監督(44)も「いろいろな人たちの思いを背負って来ている。そう思うと、この1試合にコメントするのは難しい」と胸の内を明かした。
黄金時代を築いた古沼貞雄元監督、OBのとんねるず・木梨憲武らが応援に駆けつける中、幸先の良いスタートを切った。前半5分に左CKからファーサイドのDFラビーニ(3年)が頭で合わせて先制。まずは試合の主導権を握ったが、徐々に京都橘が攻勢に出た。
後半は苦しい時間帯が続き、後半33分には左CKから最後は京都橘MF桐原惺琉(3年)に頭で決められた。流れが相手に傾きかけ、藤倉監督も「声をかけることすらできないままゲームがスタートした」という状況にも選手は冷静だった。
ピッチ上で主将のMF砂押大翔(3年)がチームメートを集めて「笑え!笑顔でやれ!」と落ち着かせた。すると直後の後半35分だ。砂押が中盤でボールを奪い前線へロングパス。最後は途中出場の宮本が右足でゴールへ流し込んだ。
試合前に「今日の試合はドラマチックになるように」と送り出した指揮官は、言葉通りの劇的勝利に「歴代のOBの方たちも大会を通してたくましくなった。そういう伝統に乗っかれる形は作れた」と手応えを示す。
選手権は長く全国から遠ざかり“古豪”と呼ばれることも。それでも「自分たちの代にしかないものを出しながら、帝京の伝統も引き継がないといけない。それが2点目に表れた」と砂押。そして「国立に愛される帝京を目指している。準決勝、決勝へ死ぬ気で戻ってきたい」。復活のストーリーは、始まったばかりだ。
◆帝京高校サッカー部 1956年創部。65年から就任した古沼貞雄監督の下、74年度の第53回大会で初優勝。ブラジル代表をほうふつとさせる黄色のユニホームから「カナリア軍団」と称され、選手権出場35回、高校総体出場31回、通算9回(選手権6回・総体3回)の優勝を誇る。2009年の第88回大会を最後に出場から遠ざかったが、今回15大会ぶりに出場を勝ち取った。主なOBは元なでしこジャパン監督の佐々木則夫氏、元日本代表の中田浩二氏、とんねるずの木梨憲武、カリスマホストで実業家のROLANDなど。