<全国高校ラグビー大会:倉敷29-12九州学院>◇1回戦◇28日◇大阪・花園ラグビー場倉敷(岡山)が九州学院(熊本)を下し、2回戦に駒を進めた。前半に8-0とリードしながら、前半25分と前半3分に九州学院にトライを許して8-12と逆転された…
<全国高校ラグビー大会:倉敷29-12九州学院>◇1回戦◇28日◇大阪・花園ラグビー場
倉敷(岡山)が九州学院(熊本)を下し、2回戦に駒を進めた。
前半に8-0とリードしながら、前半25分と前半3分に九州学院にトライを許して8-12と逆転された。
そんな劣勢の流れを、SH若狭正和(3年)とWTB宮崎凜(3年)の「3時起きコンビ」が変えた。後半6分に若狭からSO成田睦生(1年)につないだボールを宮崎が花園初トライ。再逆転に成功すると、同22分にも若狭が起点となったアタックで宮崎が中央へトライを決めて、勝負を決めた。2トライの宮崎は「みんながつないでくれたボールを絶対にトライする気持ちでいきました」と堂々した様子で振り返った。
若狭と宮崎は、文武両道を地で行く2人だ。ラグビーだけでなく、勉強にも力を入れられる環境ということで、倉敷への入学を決めた。
宮崎は兵庫の進学校・灘中の出身。高校進学時に灘高を選ばなかった生徒は異例。「中学の担任から、阪神・淡路大震災で実家が倒れてしまった人ぐらいだと言われた。珍しいというのは自分でも思います」。並々ならぬ思いが、周囲を納得させた。
試合前日の27日は宿舎で4時間勉強。普段は午後9時に就寝し、午前3時起きで学習に励んでいる。若狭によると「1年の時の3年生が2時56分に起きて勉強していた」ということを聞き、3時起きを決めた。2時56分ではない理由は「やっぱりその4分でも全然違ってて(笑い)」。先輩よりは4分長く寝る分、集中した。
目標は高い。主将の若狭は「留学もしていろいろな世界を知ってみたい」と千葉大の国際教養学部を志望。宮崎は「アレルギーを治す薬を作っていきたい」と京大理学部を目指している。自身も甲殻類や魚卵にアレルギーを持ち、小学6年でアレルギーに苦しむクラスメートに出会った宮崎は「世の中には好きなものを食べられない人もいると聞いている。そういう人のためにもやっていきたいです」。灘高に進学していれば、春に部活は引退だったが、倉敷を選んだことで「夢のまた夢だった」という花園の舞台にも立つことができた。
「リラックスは勉強しながらでもできるし、ラグビーの時間もリフレッシュになる」と平然と話す宮崎は「勉強もラグビーも、やっぱり仲間の力が大切。ラグビーでは1人じゃ勝てない相手を倒せたり、勉強も仲間がいるから『もうちょっと頑張ってみよう』となる。そこが結びついている部分」。近大和歌山(和歌山)とぶつかる30日の2回戦も、迫ってきた大学入試も、これまで着実に積み上げてきた力で乗り越える。【永田淳】