28日に開幕する第103回全国高校サッカー選手権大会に埼玉県代表として正智深谷が出場する。8年ぶり4回目の全国の舞台。磨いてきた堅守速攻のスタイルで全国制覇をめざす。 12月中旬、深谷市内の人工芝のサッカーグラウンド。寒空の下、選手たちは…
28日に開幕する第103回全国高校サッカー選手権大会に埼玉県代表として正智深谷が出場する。8年ぶり4回目の全国の舞台。磨いてきた堅守速攻のスタイルで全国制覇をめざす。
12月中旬、深谷市内の人工芝のサッカーグラウンド。寒空の下、選手たちは声を掛け合いながら、ミニゲームなどで連係を確認していた。
正智深谷は2012年に選手権に初出場し、15、16年には連続出場を果たす。16年はMF新井晴樹選手(J2鳥栖)、FW梶谷政仁選手(J2秋田)、MFオナイウ情滋選手(J2仙台)らを擁し、8強入りした。しかし、その後は苦戦が続いた。選手権では7年間、県予選の決勝にも進出できなかった。
今年の3年生は21年の全国高校総体に出場した先輩の姿を見て入部してきた代という。大和田悠主将(3年)は「先輩と同じように全国に行くんだという目標を持って正智にきた。自分たちの代で、という気持ちは強かった」と言う。
今夏、ピッチ内外でチームをまとめる大和田主将が鎖骨骨折で約2カ月離脱したことが、逆にチームの総合力を高めたという。小島時和監督は「それぞれの選手が自覚を持ち、全体の底上げにつながった」。大和田主将は「ミーティングなどでみんなで要求を出し合い、守備が良くなった」と話す。
チームのスローガンは「一致団結」。かつて選手権の切符をつかんだときは、FWオナイウ阿道選手(仏オセール)、梶谷選手らストライカーがいたが、小島監督によれば、いまはそうした存在はいないという。だからこそ、守備とともにセットプレーを工夫するなど、得点につなげる方法を考えてきた。埼玉大会では、全員が粘り強い守備でハードワークし、相手ボールを奪ってから素早い攻めを徹底した。
今年は、夏の全国高校総体で全国制覇した昌平が本命とみられていたが、準々決勝で聖望学園に3―4で敗れた。正智深谷は準決勝で聖望学園に1―0で競り勝つと、決勝の浦和学院戦ではコーナーキックから奪った1点を守り切った。小島監督は「チャレンジャー精神を貫いたことで、信じて巡ってきたチャンスをつかむことができた」と振り返った。
決勝まで4試合連続で1点差ゲームをものにしており、セットプレーからの得点も多かった。キッカーを務めるDF鹿倉颯太選手(3年)は「3年間、キックを磨いてきた。選手権では苦しい時間帯も多いと思うので、自分の左足で勝利に貢献したい」と意気込む。
初戦は29日。長崎総合科学大付(長崎)とNACK5スタジアム大宮で午後0時5分から対戦する。同じブロックには東福岡(福岡)や尚志(福島)、青森山田(青森)など強豪校がひしめくが、大和田主将は「全国大会でも『一致団結』で日本一をめざしたい。一戦必勝でいく」と力を込めた。(黒田壮吉)