【千葉】全国高校サッカー選手権大会(男子)が28日、全日本高校女子サッカー選手権大会が29日、開幕する。県内からはともに流通経済大柏が出場する。いずれも就任5年目の監督の下、自ら考えるサッカーを目指してきた。全国から集う強豪の中で、頂点を…
【千葉】全国高校サッカー選手権大会(男子)が28日、全日本高校女子サッカー選手権大会が29日、開幕する。県内からはともに流通経済大柏が出場する。いずれも就任5年目の監督の下、自ら考えるサッカーを目指してきた。全国から集う強豪の中で、頂点を目指す。
12月上旬、夕日が差すグラウンドで、約40人の選手がいくつかのグループに分かれ、ボールを追っていた。
「楽しむことと楽することは違う。本気でやるから楽しいんだ」。浦田佳穂監督が声を張り上げると、選手たちの動きに鋭さが戻る。
監督就任5年目。昨夏、記憶に残る出来事があった。自身の指導について当時の3年生に「互いの成長のためには変えないといけない」と言われ、ハッとした。感情的になることもあった指導を、選手たちが納得して自ら動けるよう論理的に説明するようにした。
例えば守備では、ただ「距離を縮めて」ではなく、「自分が不快と感じる距離に一歩踏み出すと、それは相手も嫌な距離になる」。ボールの蹴り方による飛び方の変化では、物理法則も交えながら説明する。
監督やコーチの機嫌をうかがっていた選手たちが、自ら考えて動くように少しずつ変わっていった、という。
浦田監督は「全国ではボール保持よりもゴールにつなぐことを意識してベスト8以上を目指す」。
キャプテンを務める田中悠菜選手(3年)は、3月に前十字靱帯(じんたい)を損傷した。「自分が引っ張っていかないといけない立場なのに、ピッチで声を出してみんなをまとめることができなくて、すごく悔しかった」。それでも他の選手が頑張ってくれ、県大会では相手チームの強みを抑えて優勝できた。
全国大会が復帰戦になる。「去年は初の全国大会でレベルの高いチームに圧倒された。今年は自分たちのパスサッカーでつないで勝ち抜きたい」と意気込んだ。初戦は30日、京都精華学園(京都)と鳴門渦潮(徳島)の勝者と対戦する。(芹沢みなほ)
男子を率いて5年目の榎本雅大監督は「個」を大事にし、全国レベルのチームを固めてきた。
今年に入り、選手からの「ポジション練習を増やしたい」「食事のメニューを変えたい」などの要望を採りいれるように。すると「以前より選手の伸びがよくなった」という。
選手たちに「だらけてるぞ」などと声をかけることはほとんどない。代わりに意識させるのは「何をしている時が一番楽しいか」。練習の成果を出せれば、勝てれば、楽しい。そのために苦しい練習も乗り越え、強い「個」が育てば、総合力のあるチームになる、と考える。
10~11月の県大会では、3試合でいずれも2点以上の差をつけて勝利。得点力の高さを見せつけた。
「そうそう、そこ!」。12月下旬、選手たちがボールを追うグラウンドは、大会前の緊張感に包まれていた。
2人の3年生キャプテンが130人超の部員をまとめる。佐藤夢真(えま)キャプテンは「普段からレベルの高い練習を重ね、経験を積んできたおかげで、県大会は気負わずに戦って勝つことができた」。奈須琉世キャプテンは「日本一はマストという気持ちで、強い流経大柏を取り戻したい」と意気込んだ。
初戦は31日、佐賀東(佐賀)と対戦する。(芹澤みなほ)