<101回目のプロローグ(2)>101回目を迎える東京箱根間往復大学駅伝競走(来年1月2、3日)が近づいてきた。見どころを「101回目のプロローグ」と題し、全6回連載で紹介する。    ◇   ◇   ◇駅伝に欠かせない襷(たすき)。日本陸…

<101回目のプロローグ(2)>

101回目を迎える東京箱根間往復大学駅伝競走(来年1月2、3日)が近づいてきた。見どころを「101回目のプロローグ」と題し、全6回連載で紹介する。

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駅伝に欠かせない襷(たすき)。日本陸上競技連盟駅伝競走規準で、布製で長さ1メートル60~80センチ、幅6センチを標準と決められる中、各校にはさまざまな流儀がある。

まず共通するのは「重い」こと。国学院大の平林清澄(4年)は「後の区間になればなるほど重い。それだけかけてきた選手がいるわけで。思いはつながってるものなので」と語る精神面だけでなく、同時に「それまでに走ってきた選手の汗だったり。すごくずっしりのしかかってくる」と物質的な重さも説く。

後者に反応したのは早大の花田監督。22年6月の監督就任会見で、前監督から襷を受け取って記念撮影した際に「重いな」と反応。すぐにメーカーに改良を依頼した。布は速乾性で軽い素材に変更し、「思い」は変わらずにつなぐ。

そもそも襷は片方の端に穴が開けられ、そこに反対の端を通して結び目を作り、輪にしている。受け取った選手は輪に通した先端を引っ張って体に密着させ、後ろのパンツにしまうのが一般的だ。早大は穴の大きさにもこだわる。昨年は往路で結び目が抜けるハプニング。急きょ白石主務が手芸で、復路前に穴を3センチから2・5センチに縫合した。今季も試行錯誤で、1・5センチでは引っ張った際に滑りが悪く、2センチに落ち着いたという。

大東大の真名子監督は、素材の改良をしながら「私が現役の時は青葉監督の奥さまが縫ってました」と懐かしみながら、「今後は襷を出走の前日まで神社に預けて、必勝祈願などをしてもらいたい」と思案している。現在はエントリー16人がそれぞれに自筆で裏地に姓を書き込んでいるという。逆に表地は体にかけた時に大学名がきちんと見えるかが大事。各校は字体にもこだわる。

駅伝では2本を用意して運営側に提出する。検品の印が押され、使い回しはできない決まりになっている。2本の理由は、ゴールにある。箱根駅伝では、途中で繰り上げスタートがあっても最終10区では自校の襷で大手町に到着できるように配慮している。

今年も真新しい襷をかけて、21チームが仲間の絆をつなぐ。【阿部健吾】