◆全国高校ラグビー第1日▽1回戦 秋田工35―29高川学園(27日・花園) 開幕して1回戦が行われ、秋田工(秋田)は高川学園(山口)に35―29で逆転勝利。大会通算勝利数を歴代最多の137に伸ばし、沢木賢一監督は花園初勝利を挙げた。 敵陣深…

◆全国高校ラグビー第1日▽1回戦 秋田工35―29高川学園(27日・花園)

 開幕して1回戦が行われ、秋田工(秋田)は高川学園(山口)に35―29で逆転勝利。大会通算勝利数を歴代最多の137に伸ばし、沢木賢一監督は花園初勝利を挙げた。

 敵陣深くでノーサイドの笛が鳴り響いた。選手が静かに握手を繰り返す中、秋田工・沢木監督はわずかに表情を緩めた。歴代最多の勝利数を137に更新した指揮官は「選手たちも本当に負けられないという気持ちが出たのかなと思う」とほほ笑んだ。

 伝統校の意地を見せつけて初戦突破だ。開始早々の前半2分、WTB近藤龍之介(2年)のトライを手始めに3連続トライを挙げるなど勢いに乗った。だが、ペナルティーやミスで高川学園に勢いを与え、後半12分に28―29。一度は逆転を許したが、ここから本領を発揮した。

 自慢の強力FWを前面に押し出す展開で逆境をはね返した。スクラムでも相手を圧倒。じわじわと敵陣に侵入すると、後半17分、最後はWTB・川瀬雄介(2年)がゴール中央に飛び込み逆転トライ。SO三浦勇大(3年)のゴールも決まって35―29とし、そのまま逃げ切った。

 大会出場72回、優勝15回はともに全国最多。ただ23年4月に同校へ赴任し、監督に就任した沢木監督にとっては花園初勝利だ。昨年大会は1回戦で静岡聖光学院と対戦し15―36。「2年連続初戦で負けられない」と選手を鼓舞した結果が実を結び「本当にうれしい。ほっとしている感じです」と再び笑った。

 この1年は基本から見直して、チームをつくり上げてきた。FWを前面に押し出す伝統を踏襲するとともに、体幹や筋力を含め体力面を強化。また、秋田県内の高校ラグビー競技人口が減少していることにも危機感を持ち「有力な中学生が秋田に残ってくれるような、魅力のあるチームにしていかないといけない」。あいさつや礼儀といった競技以外の丁寧な指導も心がけてきた。

 2回戦は山梨学院と対戦する(30日、第2グラウンド)。秋田県内の中学生に魅力を届けるためにも、勝利して2大会ぶりに花園で年を越す。

(太田 和樹)