◆全国高校ラグビー第1日 ▽1回戦 日本航空石川73―8鹿児島実(27日・花園ラグビー場) 開幕し、元日の能登半島地震の影響を受けた日本航空石川が11トライで73―8と鹿児島実に快勝した。自校グラウンドが使えず、今年度から都内を拠点とする中…

◆全国高校ラグビー第1日 ▽1回戦 日本航空石川73―8鹿児島実(27日・花園ラグビー場)

 開幕し、元日の能登半島地震の影響を受けた日本航空石川が11トライで73―8と鹿児島実に快勝した。自校グラウンドが使えず、今年度から都内を拠点とする中、3大会連続初戦突破。地震から丸1年となる来年元日の3回戦進出を目指し、30日の2回戦でBシードの国学院久我山(東京第2)に挑む。

 目標に向かって突き進んだ。前半2分、ラックを連続支配し、トンガからの留学生CTBマプァエ・ウィリアムが先制トライ。その後も同24分に相手のキックオフをつないでノーホイッスルでフランカー立松大がトライするなど前半5度、後半6度ゴールラインを越えて大勝した。レギュラーで唯一、石川出身のCTB上野魁心主将は「被災した人たちの分まで戦おうって言ってたので、そういう試合をできた」と胸を張った。

 前回大会は昨年12月30日の2回戦敗退。2日後の元日、学校がある輪島市など能登地方を震源とした最大震度7の地震が起きた。人工芝グラウンドは使用できず、新チームも始動できなかった。2月初旬からライバル校や系列校の助けで岐阜、埼玉、山梨など練習拠点を移しながら活動し、3月の全国高校選抜大会(埼玉・熊谷)は初戦敗退。4月からは、使用していない都内の大学のキャンパス、グラウンドを借りて授業、部活動を行っている。

 震災後は一度も輪島市で練習できない。ただ、上野主将は「その分、チームの団結力が例年以上にすごい上がった。そこはすごい、いい1年」と前向きに転化した。いつしか震災から丸1年となる「元日を花園で(迎える)」がチームの合言葉になった。「お世話になった地域が被災した。(出身が)県外、県内関係なく全員が『輪島のために石川のために』がキーワード」と上野主将。震災から1年の節目に、自分たちのプレーで感謝を伝える。

 そのためには、30日の2回戦は花園で5度優勝の国学院久我山に勝利し、元日の3回戦に進む必要がある。「花園で暴れることこそ一番の恩返し」と紙谷直樹監督(57)が話せば、上野主将も「もっといい組織ディフェンスを見せたい」と誓う。19年度大会以来、5大会ぶりの3回戦進出を結束力で実現させる。(田村 龍一)