第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)で、東洋大は継続中としては最長の20年連続のシード権(10位以内)獲得を目指す。今季は10月の出雲駅伝11位、11月の全日本大学駅伝13位と低迷。浮上へのキーマンはルーキーながら安定した力を持つ迎暖人…
第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)で、東洋大は継続中としては最長の20年連続のシード権(10位以内)獲得を目指す。今季は10月の出雲駅伝11位、11月の全日本大学駅伝13位と低迷。浮上へのキーマンはルーキーながら安定した力を持つ迎暖人(むかえ・はると)だ。父の忠一(ただかつ)さん(48)=現JR東日本コーチ=は酒井俊幸監督(48)と福島・学法石川高、実業団コニカミノルタを通じてのチームメート。全日本実業団(ニューイヤー)駅伝で、2度優勝した父のようなガッツあふれる走りで箱根路に向かう。
親子2代で指揮官と深い縁を持つ。迎の父・忠一さんは酒井監督と学法石川高の同級生。実業団のコニカミノルタでも同じタスキをつないだ盟友だ。「赤ちゃんの時、酒井監督に抱っこしてもらったそうです」と迎は照れくさそうに話した。
思春期だった中学時代は父と同じ競技を避けてバスケットボール部に所属。東京・拓大第一高入学と同時に走り始めた。3年時には5000メートル14分8秒23とトップレベルの選手に成長し、複数の大学に勧誘された。その中で選んだのはやはり、東洋大だった。
「酒井監督のきめ細かい指導で成長できると思った。父も『酒井監督なら信頼して送り出せる』と。親子で意見はすぐに一致しました」と迎は明かした。一方の酒井監督は「父親と同じで体が大きくて丈夫。粘り強い走りも似ています」と笑顔で話す。迎が生まれた時からの間柄だが、競技においては、あくまで監督と選手。特別扱いは一切ない。
迎は1年目から安定した力を発揮し、11月の上尾シティハーフマラソンでは1時間3分38秒と好走し、チームトップ。誰もが認める実績で登録メンバー入りした。
現在、東洋大選手寮の消灯時間は小学生並みか、それより早い午後8時30分。「起床は午前5時半。睡眠時間(9時間)がしっかり取れているので、疲労はありません。箱根に向けて調子が上がっています」と早寝効果に手応えを明かす。
中学時代は父と陸上を敬遠することもあったが、今は父を尊敬し、陸上に正面から向き合っている。忠一さんの1万メートル生涯ベストは28分8秒45。ニューイヤー駅伝では2001、02年に優勝メンバーとなった。「今のようなシューズがない時代に28分8秒はすごい。父の走りは覚えていませんが、最近、録画で見ました。ガッツあふれる走りをしていると感じました。僕も箱根駅伝で父のような走りをしたい」。初めての箱根路で戦うイメージと覚悟は固まっている。(竹内 達朗)
◆東洋大 1927年創部。箱根駅伝は33年に初出場。2009年に初制覇するまで歴代優勝チームで最も長い76年を要した。優勝4回(09、10、12、14年)。出雲駅伝は11年、全日本大学駅伝は15年に優勝。練習拠点は埼玉・川越市。タスキの色は鉄紺。長距離部員は35人、学生スタッフ3人。主な陸上部OBは「2代目・山の神」柏原竜二氏、100メートル元日本記録保持者の桐生祥秀(日本生命)、東京五輪男子20キロ競歩銀メダルの池田向希、1万メートル前日本記録保持者の相沢晃(ともに旭化成)。