◆全国高校ラグビー第1日 ▽1回戦 京都工学院112ー0聖光学院(27日・花園) 開幕し、現校名で初出場した京都工学院が聖光学院(福島)を112―0で下し、9大会ぶりの花園勝利を挙げた。統合前の伏見工を全国屈指の強豪に育てあげた山口良治総監…

◆全国高校ラグビー第1日 ▽1回戦 京都工学院112ー0聖光学院(27日・花園)

 開幕し、現校名で初出場した京都工学院が聖光学院(福島)を112―0で下し、9大会ぶりの花園勝利を挙げた。統合前の伏見工を全国屈指の強豪に育てあげた山口良治総監督(81)が見守る中、ともに同校最多の18トライ、112得点を記録した。

 聖地・花園を離れていた8大会分の思いを晴らすように、赤黒ジャージーのフィフティーンがグラウンドを縦横無尽に駆け回った。京都工学院は計18トライの猛攻で、伏見工時代の78点(96年度、15年度)を大幅に上回る112点をマーク。主将のFB広川陽翔(はると)は「自分たちがやってきたラグビーが通用した結果」と、15年12月30日の95回大会2回戦(36―21青森北)以来3285日ぶりの勝利に胸を張った。

 「我ら紅をまといて 信は力なり」。多くのファンが待ち望んだ一戦は、統合後にできた部歌「紅歌(こうか)」の斉唱から始まった。「部歌はこの試合での覚悟の決意表明」(広川)という儀式でスイッチが入ると、SH片岡湊志が前半3分に早々と先制トライ。怒とうの攻勢は全く緩むことなく、前後半ともに9トライを積み重ねた。

 誰よりも強く復活を願う山口総監督は、躍動する選手を客席から真っすぐに見つめた。「ジャージーの色は変わっていませんから。名前は工学院に変わりましたけど、新しい歴史をこれからも築いてくれると思う」と感激。くしくもスコアは、自身が伏見工の監督に就任した1975年の初采配で花園(京都)に敗れた際の0―112と真逆だった。無名校から全国優勝4度の強豪に上り詰めた、全ての始まりとも言える敗戦。聖光学院を当時の伏見工と重ね合わせ、「彼らもこの大敗がいい意味で悔しさにつながって、チームが成長してくれるとうれしい」とエールも送った。

 3度目の花園Vを成し遂げた00年度の主将、大島淳史監督(42)は「プレースキックをたくさん外したので、山口先生が怒っていないか心配」と笑いつつ、「彼らにとっても(花園の)デビュー戦。緊張感などあった中で、最後まできっちりプレーしてくれた」と選手をねぎらった。広川主将は「学校名は変わったが、伝統や受け継いでいるものは何一つ変わっていない。1勝で満足してもらえるような学校じゃない」と、改めて高みを見据えた。新たな歴史を刻んだ1勝はまだ、快進撃の序章に過ぎない。(森口 登生)

 ◆京都工学院の伏見工時代 元日本代表フランカー山口良治氏が74年、バイクが校内を走るなど荒廃していた伏見工に教員として赴任。75年にラグビー部の監督に就任して鍛え上げ、79年度に後の日本代表ロック大八木淳史、1学年下の同SO平尾誠二らを擁して花園初出場、80年度に平尾を軸に初優勝した。この奮闘はTBS系ドラマ「スクール☆ウォーズ」の題材となった。92、00、05年度も花園V。16年4月に洛陽工と統合し、京都工学院となった。