陸上の早大競技会・2024漢(おとこ)祭りが27日、埼玉・所沢市の早大所沢キャンパス織田幹雄記念陸上競技場で行われ、第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)の登録メンバー16人から外れた各校の選手が出場した。 第101回箱根駅伝(来年1月2…

 陸上の早大競技会・2024漢(おとこ)祭りが27日、埼玉・所沢市の早大所沢キャンパス織田幹雄記念陸上競技場で行われ、第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)の登録メンバー16人から外れた各校の選手が出場した。

 第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)で初優勝と史上6校目の3冠を目指す国学院大は好記録が連発した。前回7区7位と健闘しながら今回は登録メンバーから外れた田中愛睦(2年)が自己ベスト記録(28分56秒95)を約3秒更新する28分53秒65で日本人トップの2位。青木洸生、本山凛太朗、吉田鐘の4年生は箱根駅伝を走るチャンスが消えた中でも、気持ちを奮い立たせて、自己ベスト記録を更新する魂の力走を見せた。

 箱根駅伝直前の年末。各校で行われる登録外メンバーによる記録会は、登録メンバーに勢いを与えるという意味で「箱根駅伝0区」と呼ばれる。早大では「漢(おとこ)祭り」と呼ばれ、チームトップを取った選手は「漢」とたたえられる。今回、早大では1万メートルで自己ベスト記録(31分40秒16)を2分近くも更新する29分48秒77でチームトップになった日野斗馬(4年)が「漢」になった。

 学生3大駅伝開幕戦の出雲駅伝(10月14日)と第2戦の全日本大学駅伝(11月3日)で快勝し、最終戦の箱根駅伝で悲願の初優勝を目指す国学院大は「0区」でも強さを発揮した。1万メートル第2組で4年の本山と吉田が積極的にレースを引っ張り、本山は自己ベスト記録(29分27秒89)を2年ぶりに更新する29分10秒09、吉田も自己ベスト記録(29分34秒62)を2年ぶりに更新する29分18秒09でゴールした。第3組でも青木が自己ベスト記録(29分32秒99)を2年ぶりに30秒近くも更新する29分3秒92で走破した。

 大学卒業を機に競技の第一線から退き、地元の長崎県で就職する本山は「国学院大のユニホームを着て、全力で走るレースはきょうが最後。自己ベストで終われてよかったです」と充実感あふれる表情で話した。

 トラックよりもロードで強さを発揮する本山は、最初で最後の箱根駅伝に向けて走り込みを重ね、メンバー争いに絡んだ。「12月初めの頃まではメンバー入りできると思っていましたけど、(メンバー登録前)最後の大事な練習でしっかり走れませんでした」と静かに振り返る。12月10日に発表された16人の登録メンバーには自身の名前はなかった。「外れた時はメンタルがやられましたけど、気持ちを切り替えて、きょうのレースに臨みました。僕たち4年生が自己ベストを出したことでチームに勢いを与えられたと思います。この一年、チームは箱根駅伝総合優勝に向けて取り組んできました。あとは選ばれた選手が、それを体現してほしい。そのために僕はサポートします」と爽やかに話した。

 第3組では2年の田中が前回の箱根駅伝メンバーの意地と実力を見せてチームトップの28分53秒65をマークした。「前回の箱根駅伝を走った後、うまくいかないことが多く、苦しい1年でした。『限界なのかな』と思うこともありました」とゴール直後は涙をにじませて話した。その後、前を向いて「単独走が得意なので、次の箱根駅伝は復路の9区を走れるように頑張ります」と決意を語った。

 2年連続8度目の優勝を目指す青学大は26日に相模原市の相模原キャンパス陸上競技場で、16人の登録メンバーから外れた選手による1万メートル学内記録会(非公認記録の手動計測)を行い、飯田翔大(かいと、1年)が28分57秒6でトップだった。条件は異なるが、青学大の「0区区間賞」の記録を超えたことについて、田中は「国学院大のプライドを見せられたと思います」ときっぱり話した。

 前田康弘監督(46)と登録メンバー16人はこの日、箱根駅伝に向けた調整を練習拠点の川崎市で行った。登録メンバー外のチームメートの奮闘について、主将でエースの平林清澄(4年)は「選手としては自己ベスト記録を出すことが一番。特に4年生が自己ベスト記録を出したことに感動しました。力をもらいました。チーム全員で戦っていることを実感します」と言葉に力を込めて話した。前田監督は「本当にいいチームになりました」と万感の思いを込めて話した。

 0区から1区へ。登録メンバーから外れた選手たちは、選ばれた16人にタスキを託した。