この夏行われた第106回全国高校野球選手権大会に出場した智弁和歌山の辻旭陽主将は、開会式で選手宣誓した。 「僕たちには夢があります。この先の100年も、ここ甲子園が聖地であり続けること。そして、僕たち球児の憧れの地であり続けること」 20…

 この夏行われた第106回全国高校野球選手権大会に出場した智弁和歌山の辻旭陽主将は、開会式で選手宣誓した。

 「僕たちには夢があります。この先の100年も、ここ甲子園が聖地であり続けること。そして、僕たち球児の憧れの地であり続けること」

 2024年は阪神甲子園球場ができて100年の節目だった。大会は戦争やコロナ禍などで中止を余儀なくされた時期もあったが、球場は1世紀にわたり、野球を愛する人々のよりどころだった。高校球児にとっては今も、あこがれの舞台であり続ける。

 実は、和歌山球児の「聖地」、紀三井寺公園野球場も2025年、誕生60年の節目を迎える。

 1965年3月に誕生して以来、夏の和歌山大会唯一の会場として使われてきた。高校野球だけでなく、少年から社会人まで、様々な大会や試合が開催されてきた。

 県高野連発行の「和歌山県中等学校・高等学校野球史III」を開いてみた。昭和40年の欄では「球児、ファン待望の球場〝紀三井寺球場〟竣成(しゅんせい)」と喜んだ。ただしその後「惜しむらくは新球場初年度の紀和大会で県和歌山商業高が天理高に敗れたこと」。悔しさがにじんでいる。

 来夏は、どんなプレーが見られるか。還暦を迎える球場も、きっと待ち遠しいはずだ。(寺沢尚晃)