西村菜那子の箱根駅伝予想 前編【「3強」のなかで1位と予想したのは?】 いよいよ第101回箱根駅伝が迫ってきた。大の駅伝ファンである西村菜那子さんは"正月決戦"に向けて、箱根駅伝予選会、世田谷246ハーフマラソン、上尾シティハーフマラソン、…
西村菜那子の箱根駅伝予想 前編
【「3強」のなかで1位と予想したのは?】
いよいよ第101回箱根駅伝が迫ってきた。大の駅伝ファンである西村菜那子さんは"正月決戦"に向けて、箱根駅伝予選会、世田谷246ハーフマラソン、上尾シティハーフマラソン、MARCH対抗戦を現地取材。それらで得た豊富な知識から順位を予想してもらった。
出雲、全日本でもトップを争った「3強」の青学大、國學院大、駒澤大
photo by SportsPressJP/アフロ
今大会は前回王者の青山学院大、今季の出雲駅伝と全日本大学駅伝を制した國學院大、両駅伝で2位だった駒澤大が"3強"と呼ばれている。西村さんは「どこが勝ってもおかしくない」としながらも、「駒大が優勝する」と予想した。
その理由は、 "スピードキング"佐藤圭汰(3年)が不出場だったにもかかわらず、出雲と全日本で善戦したからだ。特に全日本は、2区終了時でトップから2分23秒も引き離されながら、怒涛の追い上げを披露。最後は優勝した國學院大に28秒差まで迫っている。
「状態はよくわかりませんが、佐藤選手が出走するのであれば、箱根は駒大が総合優勝すると思います。佐藤選手は1区がいいですね。1区は各大学のランナーが牽制し合うことが多いので、持ち味のスピードでかき乱してほしいです」
なお、「願望込み」という西村さん予想オーダーは以下の通りだ。
1区・佐藤圭汰(3年)
2区・篠原倖太朗(4年)
3区・帰山侑大(3年)
4区・村上響(2年)
5区・山川拓馬(3年)
6区・伊藤蒼唯(3年)
7区・安原海晴(2年)
8区・谷中晴(1年)
9区・桑田駿介(1年)
10区・吉本真啓(4年)
「1区の佐藤選手で抜け出して、2区の篠原選手が突き放し、3、4区でキープして5区の山川選手がもう一度差を広げる。それで往路は、2位に1分40秒くらいの差をつけると見ています。山川選手はかなり調子がいいみたいですし、本人は区間新記録となる『68分台を目指す』と話していたので、"山の神"と呼ばれるくらいの活躍をしてくれるんじゃないでしょうか。
さらに、6区の伊藤選手も区間賞の可能性があると見ています。7~9区は1、2年生なので耐える場面もあると思うんですが、先輩たちが大量リードを奪うと思うので、そのまま逃げきると思います」
【前回王者の青学大は2位予想】
その藤色のタスキを追うと見ているのは、フレッシュグリーン。前回王者の青学大を2位と予想した。
「十分に"勝てるチーム"だと思うんですけど、今季は出雲と全日本で勝ちきれていません。それでも箱根で巻き返してくるのが青学大ですが、下馬評どおりにいかないこともある。ファンの間では青学大を1位に予想する方も多いようですが、あえて2位にしました」
前回は2区・黒田朝日(3年)と3区・太田蒼生(4年)が区間賞。5区・若林宏樹(4年)が区間2位・区間新で往路をぶっちぎった。
西村さんは2区、3区、5区の起用は「前回と同じ」と読んでいる。そして、出雲1区と全日本2区で区間賞を獲得し、5000m(13分18秒51)と10000m(27分43秒33)で青学大記録を塗り替えた鶴川正也(4年)が「4区に入る」と予想した。
「黒田選手の面白いところは、自分で『あまり練習をしない』と言っているところです。"いかに抜くか"を大切にしている。レースで腕時計はせずに、自分の感覚を信じているランナーです。太田選手は前回のようにゾーンに入れば、また"太田劇場"が見られるでしょう。
鶴川選手は"世代トップ"の触れ込みで入学しましたが、出走すれば今回が初めての箱根です。鶴川選手がトップに立つと、青学大が有利になるかもしれません」
復路は前回6区で2位の野村昭夢(4年)、同8区で1位の塩出翔太(3年)らがいるなかで、西村さんはまたも"願望"を込めて主将・田中悠登(4年)が10区に入ると予想した。
「田中選手はチーム全員のお守りを作ったほどチームを愛する人なので、最後は主将が締めてくれたらうれしいですね」
【國學院大の注目選手と、「3強」に迫りそうな大学は?】
そして3強の最後の一角、國學院大。箱根駅伝での初優勝&駅伝3冠を目指すが、西村さんの予想は3位だ。
「選手層は厚いですけど、ひとりの選手がハーフマラソンくらいの距離を走る箱根となると、どうなるのか。そこが気がかりです。上尾シティハーフでも、駒大と比べると上位に入る選手が少なかったですから。あとは、2年生が3、4人くらい入りそうなので、箱根は上級生が多い大学のほうが強いかなと」
前田康弘監督が5区候補に、平林清澄(4年)、上原琉翔(3年)、高山豪起(3年)、飯国新太(1年)の名前を挙げていることもあり、「平林選手は5区を走っても結果を出してくれると思うので、ファンとしては"山"も見てみたいですね。その場合は青木瑠郁選手(3年)や、急上昇中の野中恒亨選手(2年)に2区を任せてもいいと思います」と話した。
また、前回4区で4位だった辻原輝(2年)については、「4区のコース上に実家があるらしく、『地元を走りたい』と話しています。監督いわく『宇宙人』というランナーで、どんなにきつい練習でもニコニコしているそうです。4区のハードなコースでも笑顔で走り抜けてくれるんじゃないでしょうか」とプチ情報も教えてくれた。
3強に迫る大学としては、創価大を挙げた。今季は出雲と全日本ともに4位。箱根は"ダブル吉田"に注目しているという。
「吉田凌選手(4年)は主将として最後の箱根を快走してくれるでしょう。吉田響選手(4年)は、とにかく"山の神"になりたくて大学に入ったような選手。前回は低体温症に苦しみ、思うような結果が出ませんでしたが(区間9位)、その対策も自分のなかであるみたいです。
山川選手同様に68分台を目標にしています。吉田響選手がいかに順位を押し上げるのかが見どころですね。あと、出雲と全日本を欠場した小池莉希選手(2年)の復活にも注目したいです」
創価大も含めた"4強"は、いずれも5区に強力なカードを切ってくるはず。そのなかで誰が"山の神"になるのか。西村さんは「山川選手かな......」と予想したが、いずれにしても今回の箱根は、山でドラマが起こりそうだ。
(後編:シード権争いを展望 勝負の明暗を分けるキーマンも語った>>)
【プロフィール】
西村菜那子(にしむら・ななこ)
1997年8月11生まれ。長野県出身。2015年にNGT48第1期生オーディションに合格。両親の影響で箱根駅伝を見るようになり、現在は大学駅伝だけでなく、あらゆる駅伝大会に精通している。2022年9月にNGT48を卒業し、舞台など活動の幅を広げている。