全国高校サッカー選手権で2連覇をめざす、青森山田。今年のチームの自慢は「ハードワーク」だ。最後まで走り抜き、食らいつき、守り切る。そんなプレースタイルを漢字1文字で表すとしたら、どんな言葉がふさわしいか。主将も監督も、同じ1文字を挙げた。…

 全国高校サッカー選手権で2連覇をめざす、青森山田。今年のチームの自慢は「ハードワーク」だ。最後まで走り抜き、食らいつき、守り切る。そんなプレースタイルを漢字1文字で表すとしたら、どんな言葉がふさわしいか。主将も監督も、同じ1文字を挙げた。

 選手たちは全員で攻め、全員で守るサッカーを貫いてきた。守備では前線からFW陣が圧力をかけ、相手をサイドに追い込み、MF陣が反撃のチャンスを狙う。攻め込まれたら、DF陣が相手の目の前まで接近してボールを奪い返す。

 守備の強さを印象づけた試合は、6月の高円宮杯U18プレミアリーグでのFC東京ユース戦。前半6分の先制点を守り抜き、相手からシュート8本を浴びながらも堅守でしのぎ、1―0で粘り勝ちした。

 試合を見守っていた元監督の黒田剛さん(J1町田ゼルビア監督)が「すごい。みんながハードワークをして、最後まで守備を頑張っていた」と絶賛したほどだった。

 まとめ役は、守備の要でもあるDF小沼蒼珠(そうじゅ)主将(3年)。前回の全国選手権にも出場し、今年も中心選手として活躍している。「昨年の王者というプライドはありますが、今年は飛び抜けた選手がいない。だから、雑草のように泥臭くいきます」と言い切る。

 チームにふさわしい漢字1文字は何か。小沼主将は「魂、です」と力を込めた。

 「技術も体格も、他のチームより劣るかもしれない。でも、全員がチームのために走り、チームのために守る。ひたむきな気持ちは、どこにも負けません」

 選手たちは雪の中を20分間走り続けたり、山までの上り道を10キロ駆け上がったりするトレーニングで、豊富なスタミナを養ってきた。

 攻守で体を張るFW石川大也選手(3年)は「ボールを奪えば、全員で連動して攻める。運動量と組織力で戦い、相手に流れは渡しません」と自信を持つ。

 象徴するプレーを、11月の青森県大会決勝の野辺地西戦で見せた。後半37分、石川選手がゴール左に攻め込むと、3人の選手が一斉にゴール中央に切り込んだ。あうんの呼吸で石川選手が中央へパス。ゴールが決まり、3―1として勝利を決定づけた。

 今年はけがをする選手が多く、高校総体は準々決勝で敗退。プレミアリーグ東地区では8位にとどまった。それでも守備で踏ん張り、失点は22試合で24と、東地区の12チームで2番目に低かった。

 正木昌宣(まさのり)監督(43)は「攻守に踏ん張りが利く、『魂』の入ったチーム」と評価する。

 「なかなか得点が入らなくても、守備で足を懸命に伸ばしてクリアしたり、息が上がるまで走り続けたり。最後まであきらめない粘り強さが強みです」

 小沼主将は「チームは雑草のようでも、力強く生い茂っている。一丸となって優勝をめざします」と意気込んでいる。

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 全国選手権は28日に首都圏で開幕する。青森山田の初戦は31日、2回戦で高川学園(山口)と対戦する。(渡部耕平)