第101回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)は25年1月2、3日に東京・千代田区大手町の読売新聞社前~神奈川・箱根町の芦ノ湖を往復する217・1キロで行われる。10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝で快勝した国学院大は、史上6校目の…
第101回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)は25年1月2、3日に東京・千代田区大手町の読売新聞社前~神奈川・箱根町の芦ノ湖を往復する217・1キロで行われる。10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝で快勝した国学院大は、史上6校目の3冠と箱根路初制覇を狙う。エースで主将の平林清澄(4年)は「箱根を勝たない限り勝ったとは言えない」と強い思いを明かす。25年は東京で世界陸上(9月13~21日・国立競技場)が開催される。マラソン日本代表の有力候補でもある平林は「箱根から世界へ」全力で駆ける。
主将というより闘将だ。国学院大の平林は熱くチームを率いている。「ここで頑張れば箱根駅伝で勝てるぞ!」―。夏合宿の30キロ走で走りながらゲキを飛ばした。チームメートに厳しく、自分にもっと厳しい。その日、平林は40キロ走を敢行。「チーム練習の質、量ともに昨年より上です。僕自身、昨年より練習を積めた」と力強く話す。
充実の夏を過ごした国学院大は秋に躍動した。出雲では最終6区で平林が駒大の篠原倖太朗(4年)、青学大の太田蒼生(4年)とのエース対決を制して優勝。全日本では7区で再び3人が対決。区間賞は篠原に譲ったが、平林は太田と同記録の激闘を演じてチームに流れを呼び込み、最終8区で上原琉翔(3年)が青学大を逆転。2冠を果たした。
出雲、全日本はいずれも国学院大が優勝し、駒大が2位、青学大が3位。箱根でも3強が優勝争いの中心となる。国学院大は史上6校目の3冠がかかるが、目標はあくまで箱根路の初制覇。「2つ勝ちましたが、箱根を勝たない限り勝ったとは言えません」と平林はきっぱり話す。大一番では3年連続の2区出陣が濃厚。前田康弘監督(46)は「エースがエースの仕事をしたチームが勝つ。平林は区間賞を取ってほしい」と期待する。
現4年生世代で唯一、これまで3大駅伝11大会に皆勤出場中だ。全て主要区間を担い、平均区間順位は3・45位。抜群の安定感を誇る。
来年9月に行われる、東京世界陸上の参加標準記録を突破している唯一の学生長距離選手でもある。2月の大阪マラソンで日本学生新記録の2時間6分18秒で優勝し、有力な代表候補に挙がっている。箱根の後、来年2月にマラソン代表選考レースに出場予定。卒業後、実業団のロジスティードに進むが、引き続き国学院大を練習拠点として前田監督の指導を受ける。「25年の東京世界陸上、28年のロス五輪に日本代表として出場したい」と意欲を示す。
1920年、箱根駅伝は「世界で通用する選手を育成する」という理念を掲げ創設された。伝統の継走は101回目を迎える。「まずは箱根に集中しています。チーム全員で笑って終わりたい」と平林は実感を込めて話す。箱根から世界へ。強い思いを胸にエースは走る。(竹内 達朗)
◆平林 清澄(ひらばやし・きよと)2002年12月4日、福井・武生市(現・越前市)生まれ。22歳。武生五中ではバドミントン部に所属しながら駅伝大会に出場。武生二中出身の青学大・田中悠登主将とは中学時代からの知り合い。美方高から本格的に陸上を始め、全国高校駅伝1年3区36位、2年1区22位。21年に国学院大経済学部入学。1年時から学生3大駅伝にフル出場。1年で日本学生ハーフマラソン優勝。3年で大阪マラソン優勝。自己記録は5000メートル13分55秒30、1万メートル27分55秒15、ハーフマラソン1時間1分23秒、マラソン2時間6分18秒。168センチ、44キロ。
◆学生駅伝3冠 最も歴史が浅い出雲駅伝が創設された1989年以降、5校が同一年度に3冠を果たした。90年度の大東大、2000年度の順大、10年度の早大と10年おきだったが、16年度に青学大が「10年周期説」を破り、3冠を達成。22年度には駒大が史上5校目の3冠に輝いた。89年度以降、出雲と全日本を連勝して箱根に挑んだチームは延べ10校。2冠から3冠の成功率はちょうど5割だ。
◆マラソン東京世界陸上への道 日本代表は最大3枠。年間のポイント加算で争うジャパンマラソンチャンピオンシップ(JMC)シリーズ4(24年3月31日~25年3月)の1位が、参加標準記録(男子は2時間6分30秒)突破、または基準ワールドランキング内の条件を満たせば選出される。現時点で1位の可能性があるのは小山直城(ホンダ)、赤崎暁(九電工)、吉田祐也(GMO)、平林清澄(国学院大4年)、大迫傑(ナイキ)ら。また、有効期間内に日本記録をマークし、期間終了時に記録保持者も内定する。選考大会で参加標準記録を突破した選手の中から記録、順位などを総合的に判断し、本大会で活躍が期待されると評価された選手も選出される。
◆世界陸上競技選手権・東京大会 東京・国立競技場で34年ぶり、日本では18年ぶりに行われる。日程は9月13~21日の9日間で、例年の大会よりも遅い時期での開催。大会第1日の午前8時同時号砲の男女の35キロ競歩で幕を開け、最終日の第9日に男子400メートルリレー決勝で締めくくる。スペシャルアンバサダーには2大会ぶりに、俳優の織田裕二(57)が就任し、大会を盛り上げる。
◆1991年東京世界陸上(8月23日~9月1日・国立競技場) 世界が注目した男子100メートル決勝で、カール・ルイス(米国)が9秒86と世界記録(当時)を樹立して優勝。テレビの特別リポーターを務めた長嶋茂雄氏は「ヘイ! カール!」と呼び止め、インタビューを行い、話題を集めた。男子マラソンで谷口浩美が世陸日本勢初の金メダルに輝いた。女子マラソンの山下佐知子も銀メダルを獲得。男子走り幅跳びで、マイク・パウエルが今も残る8メートル95の世界記録をマークした。