阪神の藤川球児監督(44)が25日、来年2月1日から始まる春季キャンプに臨戦態勢で参加することをナインに命じた。「全選手が戦える状態、スタメンで出られるようなポテンシャルに仕上げてもらいたい」と“火の玉指令”。特に野手に関しては「ポジショ…

 阪神の藤川球児監督(44)が25日、来年2月1日から始まる春季キャンプに臨戦態勢で参加することをナインに命じた。「全選手が戦える状態、スタメンで出られるようなポテンシャルに仕上げてもらいたい」と“火の玉指令”。特に野手に関しては「ポジションが少ない」と強調し、生き残りを懸けた競争を予告した。

 “ゆとりキャンプ”を容易には認めない。藤川監督は厳しい言葉で「2・1」の心構えを説いた。

 「こちらの希望としては全選手が戦える状態、それからスタメンで出られるようなポテンシャルに仕上げてもらいたい。私の任期(3年間)の間は常にそれを思い続けます」

 通常であれば、経験豊富なベテランや主力には信頼の証しとして独自調整が容認されることもある。藤川監督も「選手の自由に任せますが」と基本姿勢を打ち出しつつも、連覇を逃したことを引き合いに「勝ってないわけですから」と語気を強めた。23年の王者も25年は挑戦者に過ぎない。まずは節目の日に臨む覚悟を選手に問うた形だ。

 春季キャンプは1軍が宜野座、23年から2軍が具志川と距離も近くなり、選手の入れ替えが簡単になった。調整遅れなどで実戦のグラウンドに立つことができない選手を、いつまでも1軍に帯同させておく理由はない。

 来年2月15日には対外試合初戦となる練習試合・楽天戦(宜野座)が予定され、同22日の楽天戦(金武)からオープン戦も始まる。その前には1、2軍合同の紅白戦も行われる。若手主体のメンバーとなることも予想されるが、実績組も安穏とはしていられない。「紅白戦、オープン戦に若い選手が出て、打てば打つほど出番はなくなっていく。それが競争なので。僕が監督になった以上、勝負はそういうものだと思う。(1軍の)椅子は少ないですよ」と生存競争の過酷さを強調した。

 もちろん、無理を強いるつもりはない。自身の経験も踏まえ「抑えの岩崎、ゲラとか、ああいうポジションのピッチャーは1年通して投げ続けるという体のことがありますから」と年間を通じた疲労のマネジメントは考慮していく。ただ「そうでない選手に関しては、競争はいつでもあると思っています」とした。

 特に野手については「ポジションは少ない」と明言。投手を除き、8つしかない定位置を巡って「競争は激しくありますから。どんな選手も簡単にベンチには入れない」と「競争」という言葉を何度も繰り返した。

 近本も大山も佐藤輝も例外ではない。才木や村上も。主力の立場を脅かすべく、若虎にはさらに厳しい姿勢を求めた。春季キャンプのテーマは「凡事徹底」。「荒ぶった状態でグラウンドに出る。冷めてしまうような組織をつくるわけにはいかない」と語っていた。競争の活性化こそがチームを底上げすると確信している。