NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25ディビジョン1 第1節(リーグ戦) カンファレンスA2024年12月21日(土)14:00 ヤマハスタジアム (静岡県)静岡ブルーレヴズ 15-13…
NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第1節(リーグ戦) カンファレンスA
2024年12月21日(土)14:00 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ 15-13 コベルコ神戸スティーラーズ
初の開幕戦勝利は大興奮の逆転劇。
流れを変えたインパクトメンバー
まさにインパクトをもたらすトライをあげた静岡ブルーレヴズのヴァレンス・タファーテ選手
静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)にとっては、NTTジャパンラグビー リーグワンになって初めてホストスタジアムのヤマハスタジアムで迎えた開幕戦。雨の影響でハンドリングミスも出やすい中で「我慢比べ」(藤井雄一郎監督)のような展開となり、試合終了を告げるホーンが鳴った時点では、8対13でリードされていた。だが、そこから相手のペナルティやシンビンもあって4分以上攻め続けた末に劇的なトライを奪って大逆転勝ち。リーグワンで初めて開幕戦に勝利したことは、チームにとって本当に大きかった。
そんな価値ある勝利の原動力としては、攻撃が思うようにいかない中でも全員で非常に粘り強く守備ができたことも大きいが、後半にインパクトメンバー(交代出場の選手)が入って流れを大きく変えたことも効いていた。
藤井監督も試合前に「後半に良さが出るメンバー構成にしているので、ずっとプレッシャーを掛け続けられると思います」と語っていたが、インパクトメンバーは8人のうちフォワードが6人入るという構成。彼らが総動員されてプレッシャーを掛け続け、スクラムもより優位にしていった。
そうして難しい試合の流れを徐々に引き寄せた中、後半21分に投入されたヴァレンス・タファーテが、2分後のファーストプレーでいきなり力強く、速いステップで突破してトライをゲット。15人制のラグビーでは初めてプロ契約をつかんだ24歳が鮮烈なデビューを飾った。
これがチームにとっても今季初トライとなり、その後は完全に静岡BRのペース。それでもコベルコ神戸スティーラーズの我慢強いディフェンスを前になかなか攻め切れなかったが、後半45分に同じく交代出場のヴェティ・トゥポウがトライを決めて同点に追いつくと、コンバージョンキックをサム・グリーンが決めて開幕戦での初勝利に至った。
「トライを取った瞬間も最後に勝った瞬間も、すごい歓声が上がってすごくうれしかった」(ヴァレンス・タファーテ)、「ファンの方々の声が本当に自分たちを後押ししてくれて、自分もファンの方々のためにベストを尽くしてトライを取りたいと思いました」(ヴェティ・トゥポウ)と、ヒーローになった二人はレヴニスタ(静岡BRファン)の力も強調する。
大興奮の逆転劇のあとには、終盤の強さが静岡BRの新しい武器になるという予感も強く漂っていた。
(前島芳雄)
静岡ブルーレヴズ
静岡ブルーレヴズの藤井雄一郎監督(右)、クワッガ・スミス キャプテン
静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督
「昨季、コベルコ神戸スティーラーズさんには2回負けているのと、2回目の試合は大敗だったので、選手も悔しい思いをして、本当に厳しい練習を積み重ねてきました。今日は最後の最後に勝っていれば、という話を試合前にしたんですけども、本当に最後の最後まで……。僕の血圧はマックスだったんですけど(笑)、最後は勝つことができて良かったです」
──プレシーズンで守備を重視して鍛えてきた中で、特に自陣のピンチのシーンでディフェンスが光っていた印象があります。その守備の評価と、敵陣深くでのアタックの評価について聞かせてください。
「今日はちょっと天気も悪くて、なかなかボールも手につかない状態で、お互いにそうだったと思うんですけども、ディフェンシブな試合になったかなと思います。もう少しお互いにボールが動けば、お互いにもう少し良いアタックができたんじゃないかなと思うんですけども、今日は本当に我慢比べみたいな試合で、その中で少しウチに分があったかなと思います」
──先ほど「我慢比べ」とおっしゃっていましたが、その我慢比べに勝てた理由というのは何でしょうか?
「お互いにずっと我慢の時間がありましたが、そういうトレーニングをずっとしてきました。昨季は本当に最後の最後に同点になったことがあったので、ノーサイドまでを意識してやってきました。そういう意味では最後インパクトメンバー(途中出場)の選手が入って、インパクトの練習をかなりやったんですけど、彼らが良いリードをして勝利まで持っていってくれたかなと思っています」
──ブレイクダウンは、インパクトメンバーを出す前はかなり圧倒されていたように見えたんですが、想定内でしたか?
「いや、ちょっとブレイクダウンの入り方が良くなかったので、前半が終わってみんなにビデオを見せて、後半はその部分を修正できたかなと思います」
──インパクトの練習というのは、具体的にどういうことでしょうか?
「インパクトはインパクトメンバー用のプランで、どういうタイミングで入ったらどういうプレーをするのかというのは、彼らに伝えていたので、そのとおりにやってくれたかなと思います」
静岡ブルーレヴズ
クワッガ・スミス キャプテン
「いま、とてもうれしい気持ちです。最初のホストゲームで勝てたことがまず、すごくうれしく思いますし、本当に自分が(ケガで)いない期間にほかの選手たちがプレシーズンで本当にハードワークをしてきた結果がしっかり出たと思っています。80分間自分たちがしっかりとプレーをし続けたことで、しっかりと自分たちの中で結果として出たと思っていますし、こういう競った試合というのは、これからもリーグワンの競争が激しい戦いの中でたくさんあると思います。最終的に勝ったことはうれしく思いますけども、これからこういう80分の試合をたくさんしていかないといけないと思っています。今日は本当に勝ってうれしかったです」
──プレシーズンで守備をすごく鍛えてきた中で、特に自陣のピンチのシーンでディフェンスが光っていた印象があります。その守備の評価と、敵陣深くでのアタックの評価について聞かせてください。
「ディフェンスのところでは、すごく自分たちの中でもできた部分があったと思います。1試合目ということで難しい部分はあるので、今までやってきたトレーニングマッチとはまた違った形の試合になると思っていました。ディフェンスのところは良かった部分もありましたが、規律のところで相手にチャンスを与えてしまって、22mライン内に入られてしまうことが多々あったのは、修正していかなければならないと思っています。アタックのところは、前半がうまくできなくて、特にブレイクダウンところで自分たちがボールを失ってしまうことが多くなってしまいました。後半はアタックをうまくできた部分もあったので、そこは自分たちとしては評価したいと思います。ただ、試合としては良いスタートができたと思っていますので、これからしっかりと次の試合につなげていきたいと思っています」
──藤井監督が「我慢比べ」とおっしゃっていましたが、その我慢比べに勝てた理由は何でしょうか?
「インパクトメンバーにフォワードが6枚いるということで、今日はしっかりとインパクトを出せたと思っていますし、6人がインパクトでいるのは南アフリカ代表も同じ形です。あとは自分たちのプランも良かったと思いますし、この雨の中でフォワードがしっかりとボールを持って常に前にぶつかっていくということがうまくできたと思います。このようなシーソーゲームになりましたけれども、最終的には自分たちのほうにしっかりとモメンタム(勢い)が付いてきたと思っていますし、そこで勝てたことはすごくうれしく思います。先ほども言いましたが、前半のところで規律が悪かった部分が影響してしまいました。それでも後半はしっかりと規律を修正できたので、最終的には自分たちの良い方向に向いてきたんじゃないかと思っています」
コベルコ神戸スティーラーズ
コベルコ神戸スティーラーズのデイブ・レニー ヘッドコーチ(右)、ブロディ・レタリック共同キャプテン
コベルコ神戸スティーラーズ
デイブ・レニー ヘッドコーチ
「結果に関しては残念な気持ちです。試合終盤のレッドカードについても、自分たちで影響を起こしたところは多かったと思います。ただ、チームとしての観点から言えばフラストレーションはかなり溜まっています。正直、自分たちの選手はもっと良い結果を得るべきで、価値のあるパフォーマンスをしたと思っています。そこが結果に直結してしまっているので、残念な気持ちはあります」
──フラストレーションが溜まっているとのことですが、これは判定についてでしょうか?
「レフリーについて試合後に話したいわけではないです。ただ、本当に才能のある選手がいま、たくさんいるのがこの国のリーグになっていると思います。そのオフィシャル(判定)の部分に関しては、まだまだこのリーグの中で成長できる部分かなと正直思っています。ただ、カードに関しては何も不満はないです。そこは自分たちの規律が悪かったと思いますし、それによって自分たちにプレッシャーが掛かりましたけど、カードの判定に関して基本的に不満はないです。また、自分たちの試合中に見せたディフェンスの部分に関して素晴らしかったと思います」
──粘り強い守備は試合全体として光っていたと思いますが、一方で攻撃の面で全体としてどういう評価をしていますか。
「チャンスは作ることができましたが、ラインブレイクしたあとにトライを取るべきだったところで取れなかったと思います。両方のチームがスコアするのが難しかったのは、この天気というところもあると思います。2チームともディフェンスの部分に強みを持っていて、この天候の中でボールが滑りやすいという状況だったので(難しさがありました)」
コベルコ神戸スティーラーズ
ブロディ・レタリック共同キャプテン
「こんにちは。試合中盤の、自分たちが本来もっとコントロールすべきところでコントロールできなくて、最終的に自分たちが(相手に得点を)与えてしまったと思うところはあります。ただ、試合の最後でカードが2枚出ている状況での、選手たちのディフェンスに対する姿勢に関しては誇りに思います。ただ、試合の終わり方に関しては、正直かなりフラストレーションが溜まっています」
──雨の中でロースコアの展開になって、プランどおりにいった部分といかなかった部分を教えてください。
「モールに関しては前半も機能した部分は多かったと思います。正直そこでトライにつなげられなかったのはアンラッキーだったと思う部分もありますが、そこに関してはもっと我慢強さを持つべきだったかなと思います。相手にプレッシャーが掛かっている状況で、自分たちがそこでもプレッシャーを掛け続けているけれど、最終的に自分たちのミスで相手に息を吹き返させてしまうチャンスを与えてしまったかなと思っています。たくさんのプレッシャーを掛けても結局、自分たちのミスで相手がプレッシャーから脱出できるというのは、相手からしたら『勝手に壊れてくれた』という状況なので、ラクな脱出の仕方になってしまったのかなと反省しています」